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クヒオ大佐のmaのレビュー・感想・評価

クヒオ大佐(2009年製作の映画)
3.4
アメリカ空軍のパイロットで、父はカメハメハ大王の子孫、母はエリザベス女王の親戚だというジョナサン・エリザベス・クヒオ大佐。しかしそれは真っ赤な嘘で、彼は生粋の日本人。何度も逮捕歴がある、伝説の結婚詐欺師だった。




実在の結婚詐欺師であるクヒオ大佐だが、なんと「ゴールデンカムイ」の鈴川のモデルだという説がある(おそらく確定)。

これは結婚詐欺の物語だという先入観を持って観始めると、最初に独裁者として知られるイラクのサダム・フセイン元大統領を始めとした史実がフィルム風の映像とともに語られるので、再生する映画を間違えたのかとかなり焦る。

何の時間?と思うような第1部だが、日本人の多くが抱くアメリカへの劣等感を刺激強めに再認識させることで、女性たちが「高貴な血の流れる米軍パイロット」の男に不思議な魅力を感じてしまう現象に説得力を持たせたのだと思う。何の時間?ではあるけれども。

詐欺の物語だが、クレバーなすっきりとする手口ではなく、あまりにも稚拙で、詐欺であることが見え見えだからこそ、何かを抱える女性たちが騙されて心や身体、お金を奪われてしまう様子がとてもせつない。

絶望的なまでに虚言癖のある愚かな男の生まれ育った過酷な環境を鑑みると、憎めないとまでは言わないけれど、なんとも言えない後味の悪さがあり、ただただ無性に悲しい。
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