田舎から出てきてすぐお金を騙し取られ、途方に暮れてたとき、1人の薔薇売りと出会う。
「幸運の薔薇だよ」と言われ、その薔薇を手にした瞬間から彼の人生が一転。
ひょんなことからマフィアのボスになってしまう。
でもそれをきっかけに、彼はその薔薇売りから薔薇を買うたびに小さな幸運が次々と起きるようになり…。
一輪の薔薇のおかげで一般人からマフィアのボスへと人生が大きく変わっていく、ジャッキー映画の中でも異彩を放つ作品。
ジャッキーのこのころの映画としてはめずらしくストーリー重視の映画。
1961年の映画『ポケット一杯の幸福』のリメイクでもある。
1989年製作でゴールデン・ハーベスト社設立20周年記念として製作された今作は、ストーリー・アクション・カメラワーク・音楽など全てが大変よく練り込まれており、ジャッキー・チェン映画の中でも評価の高い作品である。
共演は、ジャッキー映画にはおなじみ、今は亡きアニタ・ムイとトン・ピョウ。
監督など殆どをジャッキーがこなし、ジャッキー自身が最もいいシーンが撮れたと以前語っていた映画でもある。
いつものようにアクションで組織を壊滅させて終わり!という内容ではないのがミソ。
「もしもお前たちに子ども、孫ができたとき、お前らがひとつでも誇りをもって話せるようなことをするんだ!」っていうジャッキーの名言が好き。
夢物語って言うかある意味シンデレラドリーム的な感じなんだけど、カンフー映画のような荒唐無稽ではなく、ちゃんとストーリーがあって、なおかつ映画的によくできた作品。
実際にはまあ、ありえない話なんですけど、ここまで絵に描いたようなおとぎ話がむしろ気持ち良いです。
そしてヒロイン役のアニタ・ムイの歌にも注目してほしい。
実際に歌手である彼女がステージで歌うシーンは一見の価値あり。
もちろんジャッキーのアクションもすばらしく、まるでチャップリンの映画でも観ているかのようなおもしろさ。
アクションだけでなく忘れてはいけないのが、ジャッキーはエンターテイナーの天才だということ。
帽子を扱うにも、拳銃を扱うにも、ジャケットに腕を通すにも、観客を常に意識し、華麗にやってのける男。
それがジャッキー・チェンなのだ。
ただ、正直ご都合主義感がかなり強めなので苦手な人は苦手かも。