tosyam

東京原発のtosyamのネタバレレビュー・内容・結末

東京原発(2002年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

パニック演出として斬新な構成だとおもう。普通。前半は犯人周辺の人間ドラマ。犯人の異常性や社会での抑圧されぶりを胸糞演出で観客にみせつけたりするのだが。本作では役所広司と吉田日出子の微妙に抑制された高度な胸糞怪演技がきいている。はたまたおなみだちょうだいの被害者や関係者の恋愛模様をえがいたりで後半のパニックのもりあがりをおぜんだてするものなのだが。本作では金にこまってるアル中の運転手のクズさがちょこっとえがかれるのみ。また真犯人の少年もまるで運転手の息子のようなえがかれかた。そうそのかんじんのおぜんだてが本作はチョーキテレツなのだ。なんと本作では核にまつわる都市伝説が怪談を百物語するようなトーンでディスカッションされるディスカッションドラマとなっているのだ。それも大半まるまるつかって。しかもそのディスカッション白熱するわけでもなく不気味な教授を中心にまさに怪談っぽくぬめっとした演出でなされているのでよけいこわい。そうやって臨界のこわさを皮膚感覚ですりこまれたうえで突然のクライマックス。都庁がまるで怪奇映画のゴシック城にみえ。ぜんぜんポリティカルフィクションになってないところがホントきもちわるい良い意味で。先年のチェルノブイリ東海村があるだけによけいだ。それどころか福島をへた現在これほどこわいパニック演出はない。黒沢清系胸糞終末怪奇映画。
tosyam

tosyam