このレビューはネタバレを含みます
エドワードヤンの恐れる風
2009年6月21日 23時55分レビュー。
脚本監督エドワードヤン。
台湾ニューウェーブの傑出人、寡作で、はやすぎる死に悔やんでならない台湾監督エドワードヤンの処女作。
ビデオジャケットからは ミステリーぽい印象?
ヒッチコッキ系?と思いきや、
そこは冷たい風の吹くドラマであった。
医者で融通の利かなそうな男と小説家志望の妻。
不良と付き合う女性、ガサイレでその逃げる女性の姿をカメラで写す怪しい男。
追う警察。
そんな関係性からある過去とその関係性が徐々にうっすら繋がっていく。
彼等の不可思議な繋がり。
それは劇中でそよぐ薄い白いカーテンのように暗くゆっくりと風がそよぎ彼等はそれぞれの末路を迎える。
エドワードヤンの引きのロングショット多用、彼の持ち味である薄暗い画面、バストショットの鮮明さに驚く。
同じ台湾の傑出ツァイミンリャンもそうだが、ノーパン画面が基本。
カメラ移動はほぼ無い。
ヤン監督のど傑作「クーリンチェイ殺人事件」同様にオールディーズが効果的に使用されてます。
本作の不穏な風はラスト勢いをまし、スクリーンに吹きあたる。それは人生の何かにそれぞれ恐れをなした集団の各主人公に吹き付ける悪いしらせのようだ。
恐怖分子というエドワードヤンの冷たい風が僕に吹きつけたのだ!