もしもし五反田

ロスト・イン・トランスレーションのもしもし五反田のレビュー・感想・評価

3.6
過剰なほどケバケバしい東京の街で交わされる絶対に伝わることのない真意とか、
どうせわかりっこないだろうという悪意とか、
気持ちを込めて歌う歌もBGMとしか感じない日本人たちの無関心とか、
この“どうしようもない届かなさ”がこんなにも人の心に穴を開けるものかと、私もボブとシャーロットと同じように虚しさを感じて仕方なかった。

多少デフォルメされた日本の描写は、やっぱり日本人として嫌悪感があるのだけど、
この“何でもあるけど何もない街“=東京は、
“目の前にいるのに向き合おうとしない人々”との関係性を表現するのにぴったりだったんだろうな。

だからその中でボブとシャーロットの、恋とも愛とも友情とも違う感情のつながりがより際立って感じられた気がする。

改めて、東京って空虚な街だなあ。
でもマイブラのノイズが本当に本当によく似合う街だとも思う。