ロマン・ポランスキーの長編デビュー作。今日、劇場鑑賞の帰りに、紀伊國屋書店のDVDコーナーに行ったら、ずっと観たかった『反撥』を見つけて、そのついでに本作も購入。
…で、先にこっちを観た。
海とかヨットとかってのは、モノクロで観ると、寒々しい感じがしますね。あるはずの陽気を演出する時、ほんと色って大事だな。
でも舞台はポーランド。
あまり太陽のイメージはないよね。
アンジェイとクリスティーナ夫婦が、ヨットで休暇を過ごすため、車で桟橋に向かっている。その道中、ヒッチハイクした青年を拾い、そのまま三人はヨットで海へ。
高圧的な夫ですね。
奥さんは奥さんで、見知らぬ青年を乗せたヨットで、まあ…大胆。これは休暇ではあるのだろうけど、なんとなく楽しくなさそう。大人の優雅な休暇?だけど…
海の上、狭い船上、マウントまではいかないけど、夫アンジェイにとってはヨットは自分のものだし、船上は自分の庭のようなもの。余裕を見せる。
一方、青年にとっては、ヨットで過ごすのなんて本来の目的ではないし、逃げ場のない落ち着かない空間。
2対1という優位性、大人である優位性、地位があるという優位性、“船の主”であるという優位性
それが変な方向へ転がる
それに海って怖いよね
わたしはずっと陸にいたい
足を地面につけていたい
高圧的な夫は、青年の持つ何かに嫉妬したのだろうか?なぜヨットに誘った?終盤の展開の三人の心理戦は見応えあった。
クリスティーナの行動にはびっくりしたけど、それ以上に教養が社会性があるはずの夫の臆病さと醜さにおののいた。