このレビューはネタバレを含みます
ダニーボイルの史上最痛な孤独
2011年7月9日 14時08分レビュー
原作アーロンラルストン。インディペントスピリッツ賞主演男優賞ジェームズフランコ受賞。FOXサーチライトビクチャーズ提供、米英作品。製作、脚本他一名、監督ダニーボイル。
今や「スラミネ」でオスカー受賞ディレクターに登りつめた英国監督ダニーボイル。
ブレイク作でダニー初期作品、葉っぱと疾走と暴力ファッションを叩きつけた
「トレインスポッティング」。
ユアンマクレガーを世界進出させた立役者であり、私の若い頃「トレスポ見た?」的トークがあったほど、若者に浸透した青春悪童映画でファッショナブルに捉えられた作品を撮ったダニー。
サントラ、Tシャツと風俗席巻一世風靡した作品でありました。
そんなダニーは、「28日後」でゾンビに挑戦。
「スラムドッグミリオネア」では、インド風ファイナルアンサーでオスカー受賞。
ダニーボイルの常々インタビューなんかで言っている「新しい作品」に果敢挑戦する作家でございます。
そんなダニーの新作、ニュースでは、ほぼネタばれに近い映画祭で失神者現る見出し!
「おぉ!久々だなぁ失神映画」
と思いながらも、ネタバレ先入観を払う努力をしながら、そんなダニーのパニックスリラーネイチャー作品を期待しながらレイト鑑賞となりました。
物語的には、はっきりとシンプルといえます。文章三行で終わる感じ。
ひねりなし、こんな人がいたとさ、がんばったとさめでたしめでたしであります。
なんで物語の筋や複雑な物を求めないようご注意!あとショックシーン強烈ありどーも指定R-15、女性の方注意でございます。
ダニーボイルのまさしく「トレスポ」魂の映像感覚が蘇った感じで、冒頭興奮します。ダニーファン必見の映像ですよ!往年のトレスポファンの方も是非どうぞ!
映画系譜として「キャストアウェイ」とか「生きてこそ」のながれ。
音楽がまた素晴らしい!
好きなビィルウィザーズの「ラブリーデイ」の使い方、まあラブリーに聞こえない、聞こえない(苦笑い)その状況にそぐわない映像的音楽の華やかな明るさ的矛盾のセレクターセンスに脱帽!
ラストクレジットの音楽もむっちゃ癒されたぁ!
物語は、若手冒険家らしきジェームズフランコ。彼が飛び出したのは、一面巨大な砂と岩なサンドロックネイチャー地帯。
一見楽しい休日が、あることがきっかけでジェームズにとってのロングバケーションになってしまいます、生死をかけた、、、。
まあ事前情報、テレビのアンビリーバボーネイチャー系番組でネタバレしたり、私も正直映画ニュースで想定範囲な物語を知っていたんです。
ですが、それを飛び込み、はめ込み、爆走し続けたダニーボイルの映像音楽バックアンドフォースに完全にやられてしまいました。
ダニーの元気で、乗りよい映像からのぉー
新しい表現の素晴らしさにガッチリはまりました!
それは、史上最痛な映像表現であります。
顔がこんなにずーっと歪んだままの映画ってはじめてかも?
顔の体操をしてるのか?
と自問自答しながらジェームズの一挙手一投足に我々は、息をのみ、笑い、痛み、ハードに痛み続けます!
まさに新しい映画です!裏を返せば、まあ事実だからこんなもんでしょ?
だから何?的感想もわからなくもないですが、、。
あとダニーの水というか液体注入映像が多用。
ダニー好きやなぁこの水注入カットと笑い。「トレスポ」のトイレシーンをここで想起し一人苦笑い!
私はダニーボイルの本来持ってる威勢の良い爆走カットにシンクロする回想、現状映像のマッチカット、画面分割に魅せられ興奮しました!
あと意図的に「画面」傷つけていますね、70年代風を狙っています。フィルム痛みも演出と思われます。どうぞご安心を、、(予測)
不覚にもラストは、
久々嗚咽が込み上げてきておもっきし我慢!
冷静にみると星4つなんですが、ジェームズの姿に涙泣きの塊をくれたダニーボイルに星大満足の5つ!
2011年の劇場映画ベストテン
ノミネートです。
私はジェームズにとって失った物も大きくありましたが、人生を揺らした孤独な127時間にほとほと感動した次第であります。
さて
ダニーボイルの映像感覚に心底楽しんだのも評価理由です。
さてジェームズが体感する四面楚歌ならぬ、四岩楚歌
ダニーボイルの流れて止まる史上最痛な127時間!ぜひ顔を歪めながら、あなたを揺るがす127時間体験、ぜひお楽しみください!
追伸
2011年アメリカ映画、アクション映画が元気良いですね!
あとジェームスフランコ、もちろん伝記映画にでた
「ジェームスディーン」にも似てるんですが、目もとが、若いころのロバートデニーロにどことなく似ています。ずーっとみつめていて気がついた。
追加追記
2010年代ベストテンにいれたいくらい、すきです!個人的に