こたつむり

フェノミナのこたつむりのレビュー・感想・評価

フェノミナ(1985年製作の映画)
3.8
「美少女を汚したいィッ」
そんなダリオ・アルジェント監督の欲望が炸裂したホラー作品。

問題作ですな。
鋭利な武器を片手に襲い掛かってくる殺人鬼。
悲鳴を上げながら逃げる少女。とても緊迫感溢れる場面…なのに、何故だか背後に流れるのはヘビメタ(モーターヘッドやアイアン・メイデン)。手に汗握りながら、身体はタテノリ。

だから、心拍数が上がっているのも。
恐怖の所為ではなく「よーし、襲えーッ」と襲う側の心理と重なる次第。これは新鮮でした。昔、テレビ番組で似たような実験をしていた記憶がありますが…選曲次第で感情って簡単に操作できるのですな。

まあ、そんなわけで。
ホラー映画ではありますが、全てが“恐怖”に彩られた作品ではないので観賞しやすい…と思ったら大間違い。それ以外の部分では、思わず「うげぇッ」と言ってしまう場面が多いのです。

なんと言っても主人公の特殊能力が。
“虫と交流できる”ことですからね。大量のハエが舞う場面や、蛆虫がぐねりぐねりする場面が容赦なく挿入されるのです。また、人体損壊の表現も、どちらかというと損壊した肉片を処理する描写や、腐敗していく描写が多いのです。“赤黒い”を通り越して茶色かったり、灰色だったりしますからね…。うへぇ。

ですから、主人公が美少女であることが。
心のオアシス。
少々、監督の趣味が前面に出過ぎている感はありますが、目の保養として最適でした。そんな主人公を演じたのがジェニファー・コネリー、当時14歳。この年齢は“重畳な趣味”をお持ちの方から見たら、特別な年齢なのだそうです。まあ、彼女の存在感を見れば、なんとなくは理解できますね。

まあ、そんなわけで。
問題作であり、衝撃作でした。
あまりにも強烈でしたから、物語の整合性なんて頭の片隅にすら残っていません。伏線は全て回収されたのでしょうか?いまいち、消化不良な部分もあるのですが…それでも、あの場面を何回も観たいとは思わないので…。このまま、モヤモヤを抱えたまま…。うへぇ。

最後に余談として。
物語終盤の展開に既視感を感じたので調べたところ…某ゲームの元ネタが本作だとか。なるほど。だから、主人公の名前まで一緒なのですね。あれもひたすらに逃げるだけの怖いゲームでした。
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