majizi

越前竹人形のmajiziのレビュー・感想・評価

越前竹人形(1963年製作の映画)
4.0
んまー、もう映像が美しいこと。
そして物語は悲しく…。

おぼこいというレベルじゃない童貞とファザコンを拗らした世間知らずな喜助はんが、遊郭で働く美しい玉枝をうまく愛せない話。

でもこういう田舎で男手一つで育てられて、しかも職人ときたらこんなふうになっちゃうんだろう。ああ、哀しい。

そして一度の過ちによる悲劇が二人を襲う。

大雪に覆われた山の集落、土砂降りの雨、凄まじい雷鳴、揺れる竹林、流れゆく川。
自然の美しさと激しい効果音にとてもあてられる。

下衆野郎な西村晃の役所は、当時きっとこういう男の人はたくさんいて、今もいるのだろうな…地獄へ堕ちなさい。

死神か、はたまた救いの神さんのような船頭、中村鴈治郎のキャラの濃さ。

実娘の玉緒ちゃんも出ていまして、ちゃっかりした気の利く役。可愛いなあ。

川に長い髪の毛が浸かる暗喩のおどろおどろしさ…

この作品、地味だけどすごく日本的だし、何より文子様の美しさが尋常では無かった。
majizi

majizi