ジェニファー

クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ!夕陽のカスカベボーイズのジェニファーのレビュー・感想・評価

3.6
要素過多な印象だった。

野原一家と春日部防衛隊の面々が映画の西部劇の世界に入ってしまう、というプロット。
映画内映画特有のメタ構造をメインの縦軸に据えており、キャラクターたちの目的は、「自分たちを閉じ込めている映画を終わらせること」なのだが……。

映画メタ構造の試み自体は面白いものの、シナリオがそれに終始しすぎててキャラクターを持て余してる印象だった。そのシナリオもご都合主義が目立ってあまりメタ構造がうまくいってるとも思えなかった。
むしろご都合主義のせいでキャラクターたちが映画の舞台装置に見えてしまうという皮肉さはあるが。

前半は前提の説明にほとんどのパートを割いており、文字通り話が進まない。(これもメタのうちだと言われるとそれまでだが)
そのくせセリフは多く、映画を見ているというより聞かされている印象が強い。
元の世界を忘れていく恐怖はそこそこ感じるが、それもキャラごとに進行の個人差があって伝わりにくい。
せっかく西部の世界に入ったのに、しんちゃんたちに銃を持たせるわけにもいかないのでガンアクションも前半は無く、西部劇あるある的な描写も酒場の乱闘と市中引き摺り回しくらいしかない。
そのうえクレしん映画印のコメディも全体通して少なく、映画の見どころの焦点が合ってないように感じた。

メタ構造以外にも、従来の作品では家族ドラマがメインだったのが、今作では春日部防衛隊の友情がメインとして描かれていること、大人のお姉さんに一目惚れしがちなしんのすけが、初めて年の近い(?)女の子に一目惚れではなく恋をする展開があるなど、挑戦的な要素が多く、そちらはうまくいってると感じた。
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