Hiroki

サウダーヂのHirokiのレビュー・感想・評価

サウダーヂ(2011年製作の映画)
4.0
2010年頃の甲府。リーマンショック後の不景気と新自由主義的な再開発で空洞化した地方都市の風景。土方、移民労働者の世界が自分にとって強烈な異文化の中に放り込まれた感覚だったけど、実は自分が生きていた世界と地続きにあった。街のリアリティは生々しく、ドキュメンタリーとフィクションの境は曖昧になっていく。

資本主義社会に疲れて、タイにノスタルジーを見出す日本人男と、貧しさから解放されるために金を稼ぎにきたタイ人女性の対比が強烈。発展途上の国に対して、のどかさ、純粋さ、清貧さ、本当の幸せ、みたいな憧憬を描くのはあまりにも傲慢で世間知らずだってことを突きつけてきて、グサッとさされる。お金があるからと言って幸せになれるとは限らないけど、貧しさは不幸に直結する。

やっぱり日本の移民政策はムチャクチャだと思う。移民を受け入れるか否かが今議論になってるけど、実はすでに相当数受け入れていて外国人労働者がいないとこの国は成りたたないのに、まともに移民政策をやっていないから、移民の子どもがまともに教育を受けられてない。受け入れるか否かではなくて、すでに受け入れている外国人の処遇問題。政治家が1番のギャングスター。
Hiroki

Hiroki