Hiroki

首のHirokiのネタバレレビュー・内容・結末

(2023年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

前日に『月』を観ていて、死の重み、人間の尊厳を強烈に感じていた。それでも北野映画を観て、結局不条理に人が死ぬこと、それがどうでもいいことのように扱われることに享楽を感じてしまうことが怖い。人間の尊厳、人権概念というのも結局、近代という特殊な時代に生まれた信念に過ぎないなと再確認。冒頭のカニと断面のカットはギョッとすると同時に享楽がある。 

弥助もまた黄色い人々を差別していたというのが痛快だった。

武士のしきたりなんて全部下らないというアイロニーは痛快で、何度も笑ってしまった。ただいざ真面目に考えると、それを全肯定出来ないところもある。我々から観れば武士のしきたりはあり得ないこと、滑稽なことなのは確かだし、それを馬鹿にするような態度を取れば、上に立ってマウントを取れるかもしれない。ただ自分達の文化、世界観から観て違う文化、世界観の人達を笑うというのは、かなり危うい。自分はもっと真剣に受け止めたい。これは映画に対する批判ではないけど。
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