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新・仁義なき戦い。のblacknessfallのレビュー・感想・評価

新・仁義なき戦い。(2000年製作の映画)
2.1
仁義なき戦いシリーズとして観ると、残念としか言いようがないんだよな、これ。

阪本順治監督の映画としてなら理解できなくもないんだけど、うーん。

舞台は大阪。ヤクザで頂点を極めようとする豊川悦二とヤクザを嫌い自分の力と在日朝鮮人のコミニティを起点に地下銀行を開いてる布袋寅泰の友情と破局を画く。

それなら、もうそこにガッと焦点を絞ってくれればいいんだけど、仁義なき戦いを掲げってしまったから、豊川悦二の所属する佐橋組の跡目争いの話が映画の大半をジャックすることになる。

これがおもしろければよかったんだけど、全然おもしろくなかった。
跡目を狙う有力幹部2人の盃外交や密謀が入り乱れ、やがてコントロール不能になり武力衝突になるって流れは明らかに仁義なき戦いの流儀に沿ってはいるんだけど、つまらない。

最大の原因は出てくる大物幹部達のキャラが弱いことだと思う。
仁義なき戦いと言えば、良いやつ、こ狡いやつ、狂暴なやつ、打算だけのやつ、とにかく全てが誇張され過ぎたコメディー寸前の笑わずにはいられない丁々発止のセリフの応酬が魅力の1つなのに、これはまったくそれを踏襲してないんだよね。
重々しく構えたり、威勢よくキレたりはするものの、型としてのヤクザをやってるだけにしか見えない、、
常に沈痛でギスギスしてるだけの空気が漂ってて重苦しいんだよ、、これは仁義なき戦いじゃないよ感ばかりが強くなる。

そんな残念な抗争劇の後半の後半になって、よーやく豊川悦二と布袋寅泰の邂逅になる。
オープニングで2人が少年期に友情をむすび、でも、ある事件と民族の違いから袂を分かち、結果、ヤクザになった豊川悦二を布袋寅泰が拒絶するって劇的な展開になるんだけど、この2人の邂逅が30年ぶりなんだよ。
この話をクライマックスに持ってくるなら、その間にもうちょい2人を会わせておいてエピソードの積み重ねが欲しかった。
30年会わなかったら、そんなに熱く、そしてウェットにならないんじゃないかと思うんだけど笑

それと、この映画のテーマ曲は今やタランティーノのキル・ビルのテーマとして有名だけど、タラはこの映画が気に入って曲をもらったんじゃなくて、単に曲がよかったからなんじゃないかと思った笑

悲しいことに曲のカラーもキル・ビルの方が合ってるし、使い方もうまいと思った笑
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