救済P

ドラえもん のび太とロボット王国(キングダム)の救済Pのレビュー・感想・評価

3.0
ドラ映画23作目。小さい頃に繰り返し見ていたのでめちゃくちゃ面白かった気がしてたけど久々にみたらたいしたことなかった。

時空の乱れにより現代日本に送られてきたロボットの少年「ポコ」の国ではロボットと人間が長く共生して来たが、時の女王「ジャンヌ」によって人間に仕えるようにロボットが改造されていく。ドラえもんたちは捕らえられたポコの母親をはじめとしたロボットたちを救う為に立ち上がる。

これまで敵として描かれてきたロボットが弱者のサイドに立たされ、人間との共生を図るという点で新しいシナリオが試されている。

不幸な出来事からロボットを憎むジャンヌと、極めて人間と良好な関係を結ぶことができたドラえもんが衝突し、兵士の姿で戦うドラえもんは単純にカッコいい。

冒頭の不穏演出から過去一と言えるほど空気は重く、敵ロボットの無感情な描写も合わさってシリアスな空気感を作っている。

しかしながら、全体に不要なギャグが散りばめられており、シリアスの空気は一瞬にして雲散する。たとえばドラえもんがコロシアムで戦うことになったシーンでは、ドラえもんが機転を利かして道具で戦うのではなく、たまたま道具がうまく通用して勝ってしまうコロコロのような試合運びを見せる。終盤の、巨大なロボットとロボットの決戦のシーンでは、のび太がロボットを操縦した為、バレリーナのような動きを意図せずにしてしまうが、たまたまそれで勝ててしまう。ラスボスとの戦いはほとんど描かれることなく、ギャグ的にドラえもんが勝利する。
冒頭からしっかりとシリアスの空気を作り上げているにも関わらず、見せ場をことごとくギャグで消費していくため、劇場版特有のアツさをなにも感じない。ラストはとってつけたようなドラえもんとの別れが描かれ、しかも意味のわからない理由によって助かるため不快。

無機質なキャラクターデザインに、ゲストキャラの悲しい過去、意志の改造と、シリアスを突き進めば間違いなく面白くなっていたにも関わらず、コロコロ的なギャグで自らそれらを破壊するなんとももったいない映画。日和ってる。
救済P

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