救済P

映画ヒーリングっど♥プリキュア ゆめのまちでキュン!っとGoGo!大変身!!の救済Pのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

テレビアニメ版放送終了後に公開された映画。プリキュア5GoGoとのクロスオーバー作品でもある。

シナリオ自体はそこまで面白くない。娘の命と人々の幸福のトレードオフの関係の中で揺れ動く母親の葛藤が主軸に物語が展開されていくが、巨悪に相当するボスキャラはあくまで絶対悪思想で動いており、勝てばハピエン負ければバドエンのわかりやすい体裁をとってしまっている。勝利後のカグヤの復活についても特に理由なくご都合主義なので感動できない。「ゆめアール」という空想具現化技術についてもちゆちーの陸上シーンで効果が発揮された程度で戦闘描写や感動シーンなどの画の華とはなっていないのであまり意味を感じられない。テレビアニメ版本編でプリキュアたちに強い関係性が生まれなかったことも原因の一つとなって、映画中においても関係性描写が少なく、話の主軸が親子愛であることもあってか、ゲストキャラクターとの友情や愛情の深まる描写もそこまで描かれなかった。

テレビアニメ版ではわりかしビーム等の遠距離技で戦う機会の多かったヒーリングっどのメンツがこれでもかと徒手空拳で戦うので迫力がある。特にのどかは優しさの中に強さと激情を秘めているキャラクターデザインがなされているので、のどかの想いの強さがそのまま拳にのっているさまはアツさを感じた。
プリキュア5GoGoについて、出てきた理由がわからないといったレビューが散見されるが別に理由は要らない。プリキュア5GoGoが出てくるだけで一定のアツさが保証されるので空から落下して戦うだけでもう、良い。ミルキィローズの戦闘描写がトリッキーかつ美しくて良かった。

なにはともあれ、テレビアニメ版、ひいてはのどかがやってきたことの集大成としてヒーリングっどの活躍が描かれ、そして最後に一人の少女が「わたし今、生きてるって感じ!」とほほ笑むラストシーンには胸を打たれた。テレビアニメ版の最終回では巨悪を倒したからといって人間の業が赦されたわけではないということが強調されていたが、のどかがプリキュアとして戦ってきたことは決して無意味ではなく、少なくとも一人の少女の人生を救うことができた。カグヤの笑顔に応えるようにして笑うのどかを通して、なにか報われたような気持ちになった。これが彼女のいう"お手当"なのかも。
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