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ホテル・ルワンダのprocerのレビュー・感想・評価

ホテル・ルワンダ(2004年製作の映画)
3.3
 こんなに恐ろしいことがあったということを改めて認識させられる・・・そんな作品です。1994年にアフリカ、ルワンダで起きた事実を映画化したのが本作、「ホテル・ルワンダ」です。94年・・・私は何をしていたでしょう。セナがマクラーレンを降りた年ですね~。あの頃はF1に夢中になってました。こんな恐ろしい事件があったことはちゃんと認識していなかった。ホント、情けないです。

 それは同じアフリカでフツ族、ツチ族とわけられ争ってきたことが、内戦、大統領暗殺をきっかけに少数派民族であるツチ族を虐殺することへと発展することになってしまいます。しかし人間というのは何でこんなにおろかなのでしょうか。日本でも戦国時代という恐ろしい時代を経て、今の平和な日本になったのですが・・・あなたは上品な顔で色が白いから貴族、あなたは色黒でごついから平民、だから何をしてもいい、極端な話そういうレベルに近いものがありますね。ツチ族とフツ族を比較して外見上わからず皮肉るシーンもしっかりこの作品にもありますが、フツVSツチ&第三者(傍観者)という図式が重くのしかかります。しょせん外部の人間は傍観者なのだ・・・、重いですね。これは規模を小さくすると現代日本のいじめと同じ図式です。いじめるもの、いじめられるもの、傍観者。以前ちょっとだけご紹介した、「ヤンキー、母校に帰る。」というドラマでこんな台詞がありました。”お前らは俺たちは関係ない、という顔をした!それが一番罪が重いんだ!俺は絶対にいじめをゆるさねえ!“介入して自分もいじめられる側になるのが恐ろしくて何も出来ない。まさにこの作品ではアフリカ以外の国すべてをさすのかもしれませんね。それを皮肉った台詞もホテルのスタッフがぽろりとこぼします。

 描写よりも伝えたい事実がしっかりと作品に反映されて、最近多い映像や音楽で攻め立てるつくりではないところに見所があると思いました。この作品は日本で公開されなかった2004年以降、有志が日本公開を署名活動で具体化して、今年公開になった作品です。それだけの価値があるのです、この作品にはいろんなメッセージがビシバシと心に問いかけてきます。人間の醜さと、主人公ポールにあるような人間の優しさ、高潔さ。なによりもこのポールの行動こそが私には救いでした。酷い世の中にもこんな人がいるのです。それはひとそれぞれ感じることが違うのでしょうが、是非この機会に作品をご覧になって、ご自分と向き合ってみたらいかがでしょうか。
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