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マイ・レフトフットのpikaのレビュー・感想・評価

マイ・レフトフット(1989年製作の映画)
3.5
まさかの2作続けて「家族って素晴らしい」映画だった笑
寝る前に少しだけどんな感じかチラ見してみよーって見てみたら面白すぎて止められず結局最後まで見てしまったくらい面白かった!

生まれながらの脳性麻痺で左足しかまともに動かせないという特殊な人物の実話が描かれているとは言え、劇的な苦労差別話や御涙頂戴な方向へと振りきることなく淡々と生涯のドラマを展開していく様がめちゃくちゃ面白い!
辛い話なんて無粋なものは極力排除してとことん家族って素晴らしい!母の愛は偉大!というのを貫いていて心が暖かくなったし延々と見ていたくなるほど良かった!

合間に挟まれるリアルタイムのドラマがちと強引で、やりたいことはわかるけど雰囲気を統一した伝記ドラマのリズムを崩すくらい残念な完成度だが、独特な半生を下敷きにしながら全編を覆うテーマは家族愛だったり他者を求める愛だったり普遍的なものになっていて、レストランのシーンの切なさと居たたまれなさ然り、出生や状況から主人公の気持ちに同調するのが難しくともギリギリまで寄せられるほど「十人十色だが根本的に大切なものは同じ」というところに落とし込む一貫した姿勢に感動。

ダニエル・デイ=ルイスはオスカーを受賞したということを忘れるくらい演技に見えなかった。
クリスティという人物に出会えた、彼に会えて良かったと思えるような自然な存在感で、愛らしくも魅力的な彼の日々を見ていたいから目が離せない、彼のことをもっと知りたい、と思わせる次元の、演技云々ではなく本人、本物に出会えて好きになったという感情が作品そのものの魅力になっていた。
似て非なるが同様に不治の難病の実在の人物を演じてオスカーを受賞した「博士と彼女のセオリー」のエディ・レッドメインを彷彿としたがレベルが違った。マジすげー。
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