アー君

とむらい師たちのアー君のレビュー・感想・評価

とむらい師たち(1968年製作の映画)
3.2
原作小説は野坂昭如。「エロ事師」ではスブやんが性をあつかうが、この映画の主人公であるガンめんは死の商売人である。
伊丹十三「お葬式」、さそうあきら「おくりびと」に比べれば毛色は違うかもしれないが元祖だろう。
「シェー」や「キビシー」などの当時の流行を取り入れているが、これで受けるのは70代で現在ではスルーされるネタである。

内容は葬儀業界のブラックユーモアである。野坂を作家としての見出した三島のように死を美化することはなく、死をもて遊んでいるかもしれないが、観念的に囚われいる印象もある。ラストは戦後が非日常の世界であるがゆえの戦中派の被虐的な願望だろう。

本編では水子霊の話が出てくるが、実際に女性の弱みをつけ込みお布施という口実で商売をしている坊主がまだいるらしい。やりきれない怒りが込み上げてくる。

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