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スパイ・ゲームのtakのレビュー・感想・評価

スパイ・ゲーム(2001年製作の映画)
3.3
ロバート・レッドフォードとブラッド・ピット。新旧美男スターの顔合わせだけど、顔見せだけに終わる映画ではなかろうな?、と劇場へ。「リバー・ランズ・スルー・イット」では、監督と役者という関係だった二人。おすぎ氏が「綺麗な男のコよねー。若い頃のロバート・レッドフォードにどこか似ているし。」と述べていたのを思い出す。その二人が肩を並べての共演だ。

レッドフォードがCIA局員として最後の日を迎えるが、そこへ昔の部下が中国で処刑寸前だという知らせが。これを知力とアイディアで助けようとするお話。トニー・スコット監督は、レッドフォードの「コンドル」がお気に入りと聞いたことがある。あれは追いかけっこやドンパチばかりのスパイものとはひと味違う映画だっただけに、この作品もちょっと意識しているのだろうか。

知的サスペンスってところが最大の見どころで、従来のトニー・スコット作品のド派手なイメージとは印象が違う。しかし、アクションを売りにしたこれまでの映画と同様に、カメラだけは止まらない。ひたすら動き続ける。レッドフォードの指示で、特殊部隊が突入する場面などは、アクションシーンとして当然の迫力。特に印象的だったのは、屋上で二人が議論を戦わせる場面。普通なら会話をじっくり構えて撮るところだが、これが揺れ動く空撮。「お前がヘマをやっても助けない」と言い渡す場面もあるくらいだから、仕事や人間関係の不安定さが表現されていたのかな、とも思った。

欲を言えば、私財を使ってまで救出作戦を展開させるし、「助けない」という言葉を覆すあたり、二人は果たしてそこまで深い人間関係だったのだろうか?とやや疑問に思った。

部屋から電話するだけで、組織を的確に動かすレッドフォードの役柄をすごいと思う。けれど視点を変えれば、アメリカという国はそれだけ強い組織力を持つのだ、という世界への発信とも受け止められる。折しも、この映画が公開されたのは、2001年9月の同時多発テロの2ヶ月後。そしてこの後、ハリウッドは戦争映画を量産するようになる。
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