すずき

ヘンリーのすずきのレビュー・感想・評価

ヘンリー(1986年製作の映画)
3.4
アメリカで実在の殺人鬼、ヘンリー・リー・ルーカス。
彼の被害者は300人(約4コマンドー)とも言われ、単独での殺害人数ではトップクラスの伝説的殺人鬼。
この映画はヘンリーと、彼の同居人のオーティス、そしてオーティスの妹ベッキーとの奇妙な同居生活を描いたものである。
尚、実在の人物・事件をモデルにしているが、物語はフィクションである。

楽しい人殺し映画ではなく、ひたすらに陰気な人殺し映画。
まず舞台が陰気で、ムショ返りの男2人と、夫がムショ行きの女1人の、ド底辺生活というもの。
食ってる飯もなんか不味そうだ。

映画の中のヘンリーは、人を殺す事に理由もほとんど無く、それが快楽だったり性的興奮を得る訳でもなさそうだ。
途中から共犯者となるオーティスは対照的に、怒りや八つ当たり、性的興奮を得る為に殺すし、殺る時はハイテンションだ。
しかしヘンリーは殺す時も暗い目のまま、ただ機械的に殺す。
そこに何かの感情はあるのだろうか?
思うに映画のヘンリーは、人を殺さなければ生きられない性で、ただ日常を過ごしているだけでも、殺害欲求ゲージが溜まっていくのだろう。
ゲージを発散するのは殺害以外なく、それはウンコとかゲップとかと同じ、彼にとっては生理現象と同じなのかも。
殺した時も、ただ「面倒臭いな…」ぐらいしか思ってないのかもしれない。

最後に、どこかで聞いた話だけど、それがどこだったか不明の小噺を1つ。
死にそうな毒蛇を助けた男が、助けた毒蛇に噛まれた。
男は問う、「助けた恩人をどうして噛んだのか」
蛇は答える、「旦那、それは私が毒蛇だからですよ」