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仮面ライダー THE FIRSTのシネラーのレビュー・感想・評価

仮面ライダー THE FIRST(2005年製作の映画)
2.5
『シン・仮面ライダー』公開前に
個人的に観返しておきたかった
本作を久しぶりに再鑑賞。
原点である初代「仮面ライダー」の
平成リメイクとなっているが、
恋愛要素の強い脚本が本筋を邪魔する
惜しい仮面ライダー映画だ。

物語としては、
悪の秘密結社ショッカーによって
改造人間ホッパーにされた
大学院生の本郷猛が、
仮面ライダー1号としてショッカーを
離反していく始まりを描く内容となっている。
仮面ライダー1号と2号を含めた
改造人間達のデザインは素晴らしく、
仮面を装着するという変身や
本郷を狙う刺客として一文字隼人こと
仮面ライダー2号が登場する等、
原作漫画を意識した要素が
取り入れられているのも良かった。
アクション自体もリアルな肉弾戦と
バイクアクションが主体となっており、
下手なCGや派手なアクションがない
のは作風的に良いと思った。

しかしながら、
本郷と一文字が本作のヒロインである
緑川あすかを巡って三角関係となる恋愛劇は、
あまり観たくない展開ではあった。
ヒロインを取り合う1号と2号によって
孤独なヒーローの誕生という印象が薄く、
最終的な恋愛劇の結末も
中途半端で首を傾けてしまった。
ヒロイン自体に関しても、
思い込みや気の強い言動から
あまり好印象を抱けない問題も感じられた。
ショッカー側もコブラとスネークによる
悲恋が回想を挟みつつ描かれる為、
恋愛要素に関しては胃もたれする位に
不要に描かれていると思った。
もっと改造人間としての
苦悩を描いた上で、仮面ライダーという
ダーク・ヒーローの誕生を描いて欲しかった。
公開当時に流行っていた
「冬のソナタ」を意識して
恋愛ドラマが強くなったとの事だが、
そもそも仮面ライダーに求めていた
要素ではないと思うばかりだ。

デザインやアクションは好きだが、
せっかくの良い素材が残念な方向に
傾いてしまっている原点回帰作だと思う。
当時の流行りを何でも取り入れる
ものではない事が表れている映画だった。
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