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悲愁物語のSPNminacoのレビュー・感想・評価

悲愁物語(1977年製作の映画)
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スターに祭り上げられた女性ゴルファーの悲劇。序盤の特訓とかは確かに梶原一騎原作ぽいのだが…。
マスメディア=男の操り人形となった若い女が、やがて同性にも人形のように魂を抜かれ囚われていくサイコスリラー展開へ。女同士の関係は『ペルソナ』を思わせる映像演出もあり、鈴木清順meetsベルイマンみたいな感じ。更に「幸福の王子」っぽくなって、彼女は男にも女にも子どもにも消費される空虚な偶像でしかない。明るい郊外住宅地とゴルフ場とブラウン管は悪夢的な受難劇の舞台となり、ゴルフだけに、グリーンを転がりバンカーにはまったら抜け出せない。結局クラブを握る(プレイはできない)のは男だ。
例えば弟の視点に絞ったりとかもう少し整理して、梶原一騎要素がなかったら、ベルイマンやデヴィッド・リンチやニコラス・ローグ、ニール・ジョーダン辺りにありそうな映画だと思うけど、そうならないのがさすが清順だった。いや、今観るといっそヴァーホーヴェン映画の感覚に近いかも(てか、既にこれらの監督の要素を全部持ってるのがすごい)。時代が早すぎたのか、それとも日本以外でなら普通に名作だったのか。
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