Ryoko

別離のRyokoのレビュー・感想・評価

別離(2011年製作の映画)
4.5
咄嗟の嘘や悪気ない隠し事が取り返しのつかない大きな事態に発展し、人間関係に綻びが生じていく。
皆それぞれ立場があり生活があり、守るべき人があり、ただそれらを守ることに必死なだけなのに、なぜ諍いが生じてしまうのだろう。
何も言葉を発しなくなってしまったアルツハイマーのお爺ちゃんはどんな思いで一連のやりとりを見ていたのだろう。「俺がこんな体にならなけりゃ」て心の声で言ってるんじゃないかって勝手に想像したら倍泣けた。
イスラムと教えを重んじるイランというお国柄も見える。コーランの前で誓うという行為はこんなに重いものなのか。彼らにとって「神」の存在の大きさは命以上。わたしの想像の及ばないところにある。
イランの国情も見えながら、格差、介護、離婚、教育といった身近な問題も刺さる傑作。
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