猫とフェレットと暮らす人

キャスト・アウェイの猫とフェレットと暮らす人のネタバレレビュー・内容・結末

キャスト・アウェイ(2000年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

見る人によって、また、見る年齢によって様々な解釈が出来るだろう映画でした。

命や資本主義の文明社会、時間と人との繋がりなど、多様に描かれているし、気付く気付かないは受け取り側にある程度ゆだねられていると感じます。

トム・ハンクスの映画を作る情熱を感じざるを得ません。体重の23kgの増減による表現も凄いですが、あれだけの長い無人島のシーンを様々な表現でやってのけるのは尋常ではないですね。

無人島での期間は4年という区切りで前後があります。
前期では、何とかしようと、もがくものの、怪我をしたり不器用な所作。
後期では眼光鋭く、動きも機敏。体型も減量されており環境に適応したのが伝わってくる。

サバイバルとして本当にありえるのか?ってのはあるし、この映画はフィクションではあるものの、トム・ハンクスの演技とロバート・ゼメキス監督の無人島ではBGMを流さないこだわりの演出が、海の怖さや闇夜や天候の怖さを引き立たせており凄みを感じた。
カメラワークとしてわざわざ水の中に入ったり出たり水面の表現も臨場感があった。

サバイバルとして生きていけるか論は横井庄一さん(グアム島で28年間サバイバルして発見された)の例もあるのであり得ると思って見てみると受け入れられる。

火を起こすの失敗して、発狂するシーンは限界がMAXって感じでよかった。それまで発狂せずに頑張ってきた主人公のチャックの性格が出てるし、まだサバイバルに馴染んでないのがよくわかる。
それで、ウイルソン(バーレーボールの擬人化フレンド)を生み出したのも面白い演出。

ウイルソンのアイデアは脚本家(ウィリアム・ブロイルズ・ジュニア)が、1週間マジでサバイバルやってたときに見つけたバレーボールからって逸話もおもしろい。

やはり人は一人だけでは寂しいよね。

ロープを高台まで取りに行くのにウイルソンと口論してる意味が最初はわからなかったが、後半の回想シーンで語られたのは、深かった。
自分で唯一決めれると思った生死さえも決めれない。生きざるを得ない。なかなかの表現ですね。

帰って来てからのパーティーでのカニ、フェデックスでの帰還のセレモニーでの主役がCEOになってしまってるニュース紹介、その背景での恋人ケニーと会えなかった。
そしてフェデックスの飛行機がいっぱい並んだ背景。
これは資本主義への皮肉ですかね。フェデックスが全面協力(帰還セレモニーに本物の当時のCEOがて出てる)して撮影されてるのでそこまでは考えすぎかな。

ケニーとの再開は、お互い気持ちがあるものの、現状のケニーの生活と時間経過により出来た距離で、どうしようもない、でも、どうなるのか?って描写はよかったし、個人的にはあれで良かった。

最後まで引張った羽のマーク。十字路でのすれ違い。遠くを見て。
これからも生きて行くことになる。選択肢を選びながら。

生きるとは
『ただ息をするだけ』

いい余韻のある映画でした。