dita

愛情萬歳のditaのレビュー・感想・評価

愛情萬歳(1994年製作の映画)
4.0
@シネ・ヌーヴォ ~台湾巨匠傑作選2018~  

人は気付かない生き物なんだと思う。すぐそばにいる人にも、すぐそばにある愛情にも、孤独にも。
隔てたドアの向こう、ベッドの下、自慰でしか満たされない欲求。そこに確かに存在している愛情はいつも一方通行だ。欲を満たす為に食べ、眠り、セックスをしても、愛に気付かなければ満たされることは無く、孤独でぱんぱんに膨らんだ人の心は少しの刺激で壊れてしまう。それでもラストシーンの止まらない涙にほんの少しだけ人間の希望を見た。

愛なんてどうせいつか無くなるのなら最初から空っぽのほうがいいと自分に言い聞かせながら寂しい気持ちや孤独を壁で覆っている人生、涙で壁を壊せた時代もあったけど、もはや壊し方すら忘れてしまった。
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