ミレイ

自転車泥棒のミレイのレビュー・感想・評価

自転車泥棒(1948年製作の映画)
3.5
CGや色んな技術を駆使したクリアな映像に慣れてしまった目に白黒映画は物足りなく感じるのでは、と思ってましたが…杞憂でしたね。
あらすじ以上の事は起こらないにも関わらず、あの親子の先が気になって気になって…

ドキュメンタリー映像のように淡々と描かれるストーリーながら、父親と息子の表情がとても良くて、その場面場面の喜怒哀楽を一緒に噛みしめました。

ラストはいたたまれない。
自転車泥棒に失敗し、相手の温情で赦されるも、絶対見られたくなかった息子に一部始終を見られてしまう。
恥ずかしい 情けない 悔しい …これからどうしようか… 様々な思いが去来するも出口の見えない袋小路に入り込んで抜け出せない、そんな詰んだ状況で終わる。
かなり重たい気持ちの残る映画でした。

仕事に対する考え方がシンプル。
働く。対価を得る。家族を食べさせる。
やりがいとかステイタスとか条件とか、諸々考えてしまう現代日本に生きる自分にとって、そこはなんか目から鱗でした。
働く場所があるって有り難い事ですね。
ミレイ

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