アー君

唐獅子株式会社のアー君のレビュー・感想・評価

唐獅子株式会社(1983年製作の映画)
3.1
だいぶ子供の時にこの映画が公開していたのは記憶にあったのだが、いつか観なきゃと思い念願叶っての鑑賞となりました。

それにしてもみんな若いですね。出演者の半分くらいは本業を俳優にしている訳ではないんだけど、力まず自然に演技をしているのでキャスティングは良かった。(それにしても鬼籍に入っている人が多い)

ダーク荒巻演じる横山やすし師匠ですが、最初の方は演技が少し不慣れな印象はあったが、中盤からは漫才と同じ感覚でやることでカンを取り戻して吹っ切れたようで良い演技をしていた。ただ弟分である桑名との関係に面白味がなかったので、ミュージシャンと漫才師としての化学反応を期待していただけに残念であった。仮にこのコンビが上手くいけば勝新太郎と田宮二郎の「悪名」のようなシリーズ化も出来たのではないかと思われる。

ストーリーは悪くはないのだが、登場人物同士によるコノ絡みが本当に必要なのか? というのはあった。例えば荒巻の妹が出たがそれ以降は出番ナシ。出所から親分の命令による愛人のレコードデビューのくだりも唐突すぎる展開や受賞後の後半の愛人と荒巻の関係に無茶振りに荒削りな構成ではあったが、それでも最後はなんとかまとめたという感じであった。

この映画で個人的な主演男優賞は今の時代であればコンプライアンスとやらで規制が入るかもしれないが、なんといってもベタなオカマ審査員長役を演じたなぎら健壱である。審査風景で遠くからカメラを引いたところでも細やかな演技を続けており、なぜか「ギルガメッシュナイト」における失態からの息子の抗議による降板劇を思い出したが、本人の生真面目さを垣間見る事ができる。

また明石家さんまがビデオ男優役として少しだけ出演をしているのだが、この時代(83年)は落語家から野球選手のモノマネや漫談のシフト中でテレビ東京がメインだったと思う(ひょうきん族には出てたかな?)今ほどタレントとして爆発的に売れていたわけではないと思うが、目つきが鋭く何かをくすぶっている感じがして怖かった。

(2022年8月12日までYouTubeの無料配信)
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