こなつ

ラヴソングのこなつのレビュー・感想・評価

ラヴソング(1996年製作の映画)
3.8
1997年、香港のアカデミー賞にあたる香港金像奨で作品賞、監督賞など9部門を受賞した香港の恋愛映画。

「欲望の翼」や「花様年華」でその美しさと表現力で私達を魅了したマギー・チャンと「天使の涙」に出演し香港四天王の1人と言われているレオン・ライが主演。また、香港の巨匠ウォン・カーウァイの作品の殆どで撮影監督を担当したクリストファー・ドリルがこの作品でも撮影監督を務めた上、英語教師の役で俳優として出演もしているのが興味深かった。

大きな志を持って大陸から働きに来ていた男女が偶然に出会い、惹かれ合いながらもそれぞれの夢を叶えるために別々の道を選び、10年後ニューヨークで再会するまでを描いたラブストーリー。

天津から大都会香港に働きにきたシウクワン(レオン・ライ)は、故郷に恋人シャオティンを残し、お金を稼いでいつか香港に呼んで結婚したいと思っていた。同じように大陸広州から働きに来たレイキウは、実家の両親に家を建てるのが夢だった。そんな同志の関係が次第に男と女へと変化していく。惹かれ合いながらも別れる道を選び、やがてシウクワンはシャオティンと結婚し、結婚式に招待したレイキウと3年ぶりに再会する。

道徳的にいけないと分かっていても、惹かれ合う気持ちが抑えられず気付けば離れられない存在になっていく。それでも女性のレイキウは逞しく、自分の道を切り開いて行こうとするのだが、男性のシウクワンは結婚したシャオティンと別れてずっと過去を引きずっている。

もっと早くお互いの気持ちに向き合えば、シャオティンを悲しませることもなかったのに、、そんな気持ちにさせる2人の曖昧な関係性が時にじれったく、決して純愛とはいえないが、切なく情熱的な愛の行方に目が離せない。

ウォン・カーウァイの作品同様ノスタルジックな美しい映像が作品をより魅力的にしている。テレサ・テンの楽曲が繋ぐ2人の運命。久々に聴いたテレサ・テンの曲はどれも懐かしく、哀愁が漂い胸を熱くする。

スクリーンから離れて16年経つが、香港の生んだ銀幕の伝説スター「マギー・チャン」は、やはり美しく輝いていた。
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