原作はフィリップ・K・ディックの短編小説「調整班」
元は比較的あっさりした短編なので脚本はかなり脚色を加えている。
とはいえ基本設定の使い方に原作へのリスペクトが感じられる。
すなわち運命を操作する調整局、局員のミスにより調整の裏側を見てしまった主人公という基本から話を膨らませ、SFというより恋愛要素を際立たせるストーリーになっている。
特に、どこでもドアとでも言うべき扉の使い方や、帽子というアイテムと雨という要素をキーにしたのもアイデアとしては面白い。
とにかくマット・デイモンが走る、走る、走る!
対する相手エミリー・ブラントはダンサー役で、踊るシーンはダンサーとしては少しゴツすぎるかなと思うものの形は綺麗に決まっていて、モダンダンスのシーンを無難に演じていてさすがという感じ。
神が定めた運命を個人の自由意思によって変えることは可能か、という、ある意味、神への抵抗ともとれるストーリーが、恋愛というやや不確定要素によって語られてしまうので、少し説得力に欠けるかもしれない。