いの

ひろしまのいののレビュー・感想・評価

ひろしま(1953年製作の映画)
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オープニングクレジットから、並々ならぬ覚悟が伝わってくる。出演者には、広島の原爆被害者の方をはじめ、学生・一般市民などエキストラが延88,500余人。1953年完成の今作、まだ戦争の傷跡は生々しく、実際に被害に遭われた方がたくさんいるなかで(ご自身も当事者であられるなかで)この映画に出演するということは、どれほどの重みがあることなのか。それが圧倒的な熱量となって観る者にたたみかけてくる。あらん限り、もてる限りの思いで、伝えたいこと。残しておきたいこと。わたしにできたことは真っ直ぐに画を見つめること。その思いをできるだけそのまま受け取りたいと思うこと。



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・フォロイー様のレビューで知ったことですが、「公開直前、アメリカへの忖度によりスポンサーが相次いで離脱。一般公開が見送られるという不幸な運命を辿り、最近まで存在すら忘れられていたという貴重な映像作品」とのことです。

・企画・製作は日本教職員組合。今で言うならクラファンで完成した作品ということだと思います。

・音楽は伊福部昭。今作での音楽は、この翌年の「ゴジラ」の劇中曲「帝都の惨状」等に転用されているとのこと(wikiによる)。反戦の思いはゴジラにも繋がったんだと感じました。


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U-NEXTなどでも配信されているようですが、無料配信もされています。今作での主役のうちのひとりである月丘夢路さんはノーギャラで出演したそうですが、下記の配信は「井上・月丘映画財団」によるものです

https://inoue-tsukioka.com/inoue-tsukioka-movie/hiroshima/


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ヘタレなわたしは偉そうなことはなんも言えなくて、実は観る決心がつかなくて何日か逃げていました。たけどなぜか急に逃げずに観られるような気がして深夜に観ることができました。この映画は、1952年の教室の風景から1945年への回想と遡ります。わたしにはこの形式がとても有難かった。きっとまたこの映画は戦後に戻ってこられると思えたから。見始めたら途中で止めるなんてことはできなくて一気に引き込まれていきます。わたしでも観ることができたからきっと大丈夫
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