ひろしまの作品情報・感想・評価

「ひろしま」に投稿された感想・評価

カラン

カランの感想・評価

4.5
低姿勢、これは通常、控えめで相手を敬う態度のことを言う。この映画では、信じがたいほどに、物理的な意味で、低姿勢である。ピカっと光って以降のことである。

先生と生徒たち。ある意味で牧歌的な風景のなか、唐突に、観客は無論その瞬間が来るのを待ち構えていたわけだが、ピカっと光る。

お母ちゃん、お母ちゃん、お母ちゃん

ぎゃあ ぎゃあ ぎゃあ

地獄だ 地獄だ

この映画が公開される8年前、つまり1945年8月某日の状況を忠実に再現することを意図したという映像は、黒澤明監督の『夢』の中の、核に汚染された世界のエピソードである「鬼哭」の地獄谷さながらである。誰も直立歩行などしていない。低いところを、世界の最低部にある地獄の谷底をもそもそ屈んで徘徊する可哀想な鬼のようだ。その中で、「気落ちせず、鬼畜米英を倒すべく、献身せよ、奮闘せよ!」という上ずった声も出てくるが、広島は完全に消沈し、苦悶の呻き声と誰かを呼ぶ声だけがうっとうしいくらいに耳をつく。


この映画は広島市民を中心に八万人を超えるエキストラを使って、制作された。月丘夢路さんはノーギャラらしい。その月丘さんの後日談によると、彼女は某航空会社のパーティに来賓として招かれていたが、一方的に、先方からキャンセルされたらしい。某映画会社は配給を務めることになっていたが、「反米色が強い」箇所の修正を要求して、折り合わずに結局、配給を降りた。日本の最高学府だとかいうT大も、上映会の許可を取り消した。

そのT大だのの医師たちは、被爆者たちの検査、治療ではなく検査!に忙しかった。バイオハザードでミラジョボビッチに感染したTウイルスを調べるアンブレラ社の研究チームを思い出して欲しい。あんな調子で日本人医療チームが日本人被災者の治療と見せかけて、原爆症の詳細を調べあげて機密扱いでアメリカに情報提供を、国家ぐるみで、繰り返していたのだ。医師の中には心ある人もいて、だいぶ胸を痛めた人もいたそうだ。そういう悲しき社会の中で、結果的に、この映画は抑圧されることになった。

原子爆弾が人々に強要した「低姿勢」を克明に描写したのが、『ひろしま』という映画だ。しかし日本社会が歴史的に抱え込んでしまった、卑屈な、あまりに卑屈な、「低姿勢」によって、この映画は冷遇された。おそらくこの映画の制作陣も思ったことだろう、これからの日本よ、用心することだ、と。この種の卑屈さは、この種のコンプレックスは、人目につかない凡庸さで、強迫的にそのはけ口を求めるはずだ。映画の中でもその萌芽が指摘されていた。
yuma

yumaの感想・評価

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地獄絵図。


核兵器の恐ろしさよく知ってる日本人こそ、核撤廃に向けて国際社会を引っ張るべきなのに、核の傘に入って、多くの基地を押し付けて、原爆や戦争で犠牲になった人たちは無駄死にしたの?って、今年のノーベル平和賞のスピーチ思い出した。

〝nuclear weapons cannot coexist 〟









そして卒論やってたら、日本人ってなに?ってなってくる、、、そして日本ってどんな国だっけーーーー

時代劇、娯楽映画、国策映画、GHQによる民主化、反戦、そして今はなんだろう??
おQ

おQの感想・評価

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整備される前の原爆ドーム周辺の映像がみれてびっくりしました。
1945年8月広島

inviolability/to be known
このところ広島原爆のドキュメンタリーを何本も観て、たくさんの証言をきいていたから、一見やりすぎのようにも思える被曝描写が、じつに現実に忠実で、限りなくリアルであるかがわかる。まだ傷も癒えない戦後のすぐの時代に、広島に真摯に力強く向き合ったということがまず素晴らしい。そしてもうこの頃には、人々がこのことから目を背けようとしていた事実が、とても切ない。

このレビューはネタバレを含みます

ピカひろしまの事実



ベルリン映画祭長編映画賞
1953年、音楽伊福。
脚本八木保太朗。助監督熊井啓ほか。
監督関川秀雄。



2017年、本作を見るのが裏目標だった。以前気安く何気なく「戦争映画」みてみようと借りたが、挫折した。もう魂がはいりまくっていて、とても関連のない、準備してないときに本作みれないと思っていた。

終戦記念迫る2017年8月
お盆ちかづく
このあつらっこい日々に
心の準備と
見るぞ!という意を決して
DVD鑑賞しました。



いやあ、これ全日本人みるべきだよ!と心底思った。
アランレネの「夜と霧」のような感じ。

久々にみるのがつらくて時々停止ボタンを押して
休憩しながら、
ためいきつきながら、
鑑賞をしおえた。

2017年自宅鑑賞ベストであり、これはまいってしまったのだ。心底、疲弊した。画面から伝わる阿鼻叫喚に

ただ

ただ

やめてあげて
もうみたくない

リアルなひろしまの事実に
目を覆いたくなる。

調べたら関川秀雄監督が、わが新潟佐渡の佐和田出身という事に強烈な尊敬を感じた。

1953年、戦後8年で
ひろしまの現状をリアルに感じさせてくれる映画になっている。

あんまりすごくて
上映中止になったりしたらしい。

岡田英二が学校で戦争の意義を唱え、生徒は戦争にかんする書物を廻し読みしている。

街では
ひろしまの戦火に被災に市民がみな団結して復興している。
バケツリレーで瓦礫処理をし、ひもでひっぱりボロボロの家をなぎたおす。

そこに

ピカっ!とひかるのだ!

そこから焼け野原のひろしまがひろがる。

漫画や読みつたわるものとは、到底想像をぜっする世界がそこにある。

本作の悲痛な地獄のような描写がリアルにつたわる。

ケロイドの月岡夢路さんがもたれかかり川に飛び込むふらふらになりながら。月岡さんのインタビューがあり、俳優の専属契約をお願いを重ねて故郷ひろしまの本作に出たかったそうです。

本作の山田五十鈴の恐ろしいほどの顔面と末路を見て、私は言葉を失った。
子供じゃない身のしらない女性を抱き、ぬくもりあい、うなだれて倒れる無残な死。

井戸に頭からつっこみまくる人間たちの束

さながらゾンビのように見える自分を恥じる

ケロイドになりとぼとぼ歩き
病院の描写の地獄のようなリアルさは、一生私はわすれないだろう。

やかましい
うめきごえ
人捜し
よこたわり
自分の傷と時間にころされてるようなひとひと、ひと

いやあ何度も停止ボタンを押しため息をついた。

こんなパワフルかつ見るに堪えないトラウマになる映像体験はひさびさだ。必見というか、凄まじかったです。きっとこんなだったんでしょうね。

なぜこれをみせないんだろう。学校でみせれば一発でひろしまがわかる。

ラストは、戦火にむかいそうな工場と

なぜかチャップリンの「殺人狂時代」の引用があった。

ひろしまのたちあがる人々

頭蓋骨をほりだす子供
ケロイドを隠す、見せる人々

いや、これが事実なんですよね。ほんと。ほ、ん、と。


ふーーー。すごい本作。

広島市民8万人のエキストラで、日教組が製作とのことだが、恐ろしいリアルさだ。

米国の○○たれ!って普通に思った。

今の政にも腹たった。全員みろよ政治家!

自分の戦争私感にも新たなになった、頭がひさびさ殴られた。

こんなに凄い映画があったんですね。

熊井啓監督が助監督だったのもびっくり。

「きけわだつみの声」同様なラストのようだったが、

ひろしまの原爆ドームにいちど行ってみたい。
お祈りしてみたいと思った。

今日
生きてることを感謝し
私も
がんばろうって心底おもった。





さて
ピカひろしまの事実

ぜひ!

No more ひろしま
Increase the peace.

追伸
新藤監督の「原爆の子」「第五福竜丸」が次の目標です。

本日ブログ投稿
えりこ

えりこの感想・評価

3.8
久しぶりにWOWOWオンデマンドで何か観てみよう、と探していたら見つけた作品です。
戦後8年の年に製作された、広島の原爆投下とその後の人々の苦しみを描いています。
実際に広島でロケをし、被爆者も多数出演しているとのことで物凄くリアルで、見ていて苦しくなるシーンも多数でした。けれど目を背けてはいけない史実なのでしっかり観ました。この映画は色々検閲の絡みであまり大々的に公開されなかったそうですが、後世に残して欲しい作品だと思いました。
原爆投下、終戦のあったこの8月という月に、ギリギリ観られて良かったと思います。
myg

mygの感想・評価

4.0
ゲンとかで分かっていても地獄絵図が凄まじくて、ひよこのくだりで下手な子役のやり取りにホッとした
教育映画かな?というような軽い気持ちで観たら、幻の名作に相応しいメッセージもヴィジュアルも強烈な反戦映画で腰が抜けるようだった。さすがは関川秀雄。

原爆症で苦しむ戦後の子供の話かと思いきやフラッシュバックしてピカドン。

焼け野原の山田五十鈴らは、ドリフの爆発コントようにススで真っ黒、頭ボッサボサで不謹慎にも一瞬笑ってしまったけど、後に延々と続く地獄絵巻にその笑顔がひきつってしまい疲れるほど。子供の頃に読んだ『はだしのゲン』の実写版みたいと安易に例えられないくらい容赦ない。
アフリカ奥地の原住民の戦闘メイクみたいに白い火傷の薬を塗ったくられた姿で泣き叫ぶ子供たち…なんとも説明出来ない気持ちになる。

狂ったように子供3人(息子2娘1)を捜し、やっと見つけた長男が直前に死んでいた時の加藤嘉の無反応な反応がリアル過ぎて苦しい。山田五十鈴の口どころか瞳孔も開いたようなコロリ最期(の演技)も劇的じゃない分、夢にスーっと出てきそう。大根の芽に喜ぶ織田政雄もちょっとの出番ながら泣かせる。

再び話は戦後の復興に戻り、浮浪児たちが原爆被害者の頭蓋骨を防空壕から採掘し額部分に英文メッセージを付けてアメリカ人に売りつけようとしたりとか素晴らしい描写が続く。

浮浪児あがりの青年が『チャップリンの殺人狂時代』を観て有名な「一人の殺人は犯罪者を産み、百万の殺人は英雄を産む」のパンチラインを繰り返すクサくてシラけそうなギリギリな場面もあったけど本作なら大あり。

アメリカを筆頭とする連合軍が敗戦軍の捕虜の扱いが人道的ではなく神に背くと言うけど、だったら原爆はどうなんだ?というようなことも突き付ける。広島が白人が住む土地だったら事態は全然違っていたというのは飛躍のし過ぎと思ったけれど。

とにかく主張がしっかりとしたパワフルな映画。同意出来る出来ないは別として、毒にもクスリにもならない中庸な主張の生ぬるい映画よりはよっぽどマシ。というか傑作!
pan

panの感想・評価

4.0
原爆投下の7年後に制作された作品とのこと。
出演者も被曝経験者多数で、作品中に使われている物品も当時のものらしいです。
広島近辺で生まれたので、学校でも否応なしにこの手の作品は見せられたものですが、これは知りませんでした。
憎悪を煽るとか、反米色が強いとかの理由でお蔵入りされたとか。

「多くの市民が熱線で焼かれた」という一言でいつも片付けられているのが納得いかなったのですが、その前と、その後と、もっとその後をリアルになぞっていて悲しく恐ろしかったです。

作中、工場を辞めた青年が出てくるのですが、その理由が「だってこのごろ工場で鉄砲の玉を作っているんですよ。僕はそんなもの作りたくありません、またこんな事が起こるんじゃないですか。市民が大勢こんな目に遭うのではありませんか」と言って、防空壕から掘り出し、外国人観光客に売っていた白骨をゆび指すのです。

被曝して生き残った人間は、自分を売り物にするか、原爆乙女のように憐れみを受けるか、ケロイドを隠して悪い事をしたかのようにこそこそ生きるか、いつ原爆症で死ぬのかと怯えるかで、とにかくずっと地獄が続くのですが世界中というより、同じ日本に住んでいる人間にさえまったく理解されないという暗黒世界。
原爆投下から7年後の作品にしてこれです。

武器製造販売や戦争は儲かるかもしれないけれど、こんな苦痛の上の富や繁栄とはいかなるものか。
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