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「ひろしま」に投稿された感想・評価

このレビューはネタバレを含みます

◉ケロイドや死体などの即物的な描写よりも被爆者たちの家族が引き裂かれていく心理的な描写の悲惨さが凄まじい。



原爆投下から8年後の広島。高校の授業中に、女生徒が鼻血を出して倒れる。原爆による白血病を発症したのだ。同じクラスの1/3が被爆者である。
ここから少女の過去の回想に入る。
少女の母親役は山田五十鈴。母親と赤ちゃんを含む3人兄弟。
この少女の一家ともうひと家族、同じ高校に通う男子生徒の家族(加藤嘉演じる軍人とその妻、3人兄弟)をメインに話は進む。
8月6日、原爆が投下された後の延々と続く被爆した市民の描写が痛ましい。
70年前の映画で特撮やメイクでは今ほどリアルにケロイド状態を表現できるわけではないが、この映画では視覚的ではなく精神的にキツイ描写が続く。

女子生徒の家族は、投下直後に弟が亡くなり、避難途中で姉が川に流され、ついには母親も亡くなってしまう。
そして8年後に白血病を発病した少女も亡くなった。

男子生徒の家族も悲惨だ。
・母親は倒壊した家に挟まれて身動きできず火災で焼け死ぬ
・母親を助けることができなかった父親も被爆し右耳あたりがケロイド状態
・父親は必死で子供を探すが、やっと見つけたものの長男はすでに死亡。
・幼い兄弟は変わりはてた父親を見て、妹は「お父さんじゃない」と叫んで走り去って行方が分からない。
・ついには父親も死亡して少年は一人になってしまう
・残された少年は叔父(花沢徳衛)に引き取られるが、叔父は家で南妙法蓮華経ばかり唱えている。
・被爆8年後、高校生になった少年はキャバレーでバイトをしながら軍艦マーチが流れるなかパチンコ三昧
・知り合いの足の悪い少女に対して「お嫁さんにしてやる」と軽い気持ちで言ってしまうが、少女から「たとえ冗談でも悲しくなるの」「二度とあんな残酷なことを言わないで」と言われてしまう。
・勤めていた工場も兵器を作るようになってから辞めてしまう。
・被爆犠牲者の頭蓋骨を売って警察に捕まってしまう。

被爆者が収容された病院で、看護師のまいた大根の芽が出てくるシーンに少しほっとする。

最後の原爆ドームに向かう無数の広島市民、劇中で亡くなった人たちも蘇り参加する1953年はまだ原爆ドームの周囲は木造の平屋ばかりであり、恐らくかなり遠方からでもドームが見えただろう



ボロボロの服を着てボサボサ髪で熱演の山田五十鈴や月岡夢路、特殊メイクで片耳がケロイド状態になりながら息子を探す若き日の加藤嘉。他にも岡田映次など当時の有名俳優も出演しているが冒頭のタイトルの出演者のトップは主にエキストラとして参加した「広島市原爆被害者、広島各労働組合員、園児、児童、生徒、学生、PTA、一般市民、延べ八万八千五百余人」である。
回想の最初の場面で一斉にお辞儀をし、きれいな整列で走る少女たちの姿、死体役でじっと動かない姿、母親を求めて泣き叫ぶ姿など子供たちの演技がすさまじい。後半のタバコを吸う姿も当時は当たり前だったのか?
大群衆シーンの迫力がただ事ではない。
被爆後の街の再現も見事としか言いようがない。


映画としての完成度が高いわけではないし、前半と後半の1953年の部分はメッセージ性が強すぎる感がある。日教組が制作というのも気にならなかったわけではない。
それでも最後まで目が離せない。


「黒い雨」を鑑賞後、購入済みで未鑑賞の本作を鑑賞。
アラン・ルネの「夜と霧」よりも2年前、原爆投下後8年、全年まで占領下になった日本でこの作品作られたことに驚く。


長い間日本国内では封印状態。

1955年 ベルリン映画祭 長編劇映画賞
1959年 「二十四時間の情事(ヒロシマ、モナムール)」公開
  アラン・ルネは「ひろしま」を見て岡田英次をキャスティング
2019年 NHKEテレ放送の「忘れられた『ひろしま』~8万8千人が演じた”あの日”」で「プラトーン」のオリバー・ストーン監督が絶賛。
2020年 海外のARROW ACADEMYがブルーレイ化。

日本国内ではDVDのみが販売されている。


ARROW ACADEMYのブルーレイで鑑賞。
特典映像に先生役の月岡夢路のインタビューと竹田信二がアメリカに移住した被爆者を訪ねてインタビューする「HIROSHIMA NAGASAKI DOWNLOAD」というドキュメンタリーが入っている。
画質は所々雨ふり状態だが総じて良い。

テーマが重く、万人に受け入れられる映画ではないかもしれないが、一度は見るべきではないだろうか?
Shaw

Shawの感想・評価

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「歴史は繰り返す」ということを聞くが、じゃあもうそうなる前に地球なんて終わってしまえと思ってしまった。

遅かれ早かれ人間なんてお互いを殺し合いながら死滅していく。でも同時にまだやり残したことをやるべきだとも思う。明日自分の目の前で世界が焼けるのを見ることになるのだとしたら、その前にできる限り後悔を減らしておきたいと強く思う。

大切な人に今すぐにでも感謝を伝えるべきだろうし、誰かの助けを求めるべきだと思う。もちろん誰かが助けを求めてるのなら、自分が動いてあげるべきだろう。自分には大切なものが山ほどある。

あと少しの思いやりと愛情を、一人一人がお互いに持たないといけない。もうあれから77年になる。世界は変化を必要としてる。
まるでドキュメンタリー作品かのような重厚な作り。CGではない、原爆投下直後の広島の街並みの再現がとにかく凄い。常人では想像し得ないほどの苦しみだったのだろう。
戦後からわずか8年後に製作され、実際の被爆者たちも出演している。これほど強いメッセージ性に、作った側の執念と意思を感じた。アメリカ人に見せたらどんな反応をするのだろうか。
乃愛

乃愛の感想・評価

4.6

このレビューはネタバレを含みます

自宅療養期間中に観た映画④

終戦記念日の前日に、この作品を見て本当に良かった。戦後から8年経って、作られた映画。生々しさが全面に伝わってきて、観るのが苦しかった。目を逸らしてはいけない、と思い最後まで見た。教科書の字面だけでは伝わらない。映画や舞台でしか伝えることができないこと。それを身をもって痛感した。
Red

Redの感想・評価

3.8
戦後まだ8年しか経っておらず、生々しく痛々しい光景がまだまだ記憶に新しいときに広島市民8万8500人がエキストラとして参加し、戦時中の服装や防毒マスク等も広島県下の各市町村の住民から約4000点が寄せられて撮影したという、広島市民の全面的協力のもとで制作された反戦映画。
原爆投下直後の街を、当時を経験した方々が体現し再現してくださった貴重な映像。

癒えることのない心と身体を抱えて参加した8万8500人の方々の平和への想い、核兵器のない世界を目指す願いや祈りを私たちはどれだけ受け止め、後世に語り継がなければならないか、原爆の恐ろしさ、戦争の愚かさを改めて痛感した。
ゆか

ゆかの感想・評価

3.5
8月6日におすすめに出てきてみた作品。
海外に住んだことはないけど、日本人だからこそ思うこととかあるよね。
MK

MKの感想・評価

5.0
一人を殺せば殺人者だが
百万人を殺せば英雄だ
殺人は数によって神聖化させられる

劇中の終盤にあった殺人狂時代の台詞

とてつもない数の広島市民がエキストラとして参加していると知り鑑賞。
言わずもがな、77年前に投下された原子爆弾による惨状を綴った物語。

なんだろうな…決して対象は明らかにされていないのだけれど、当て所もない怒り、無念、恨み、そんなものが物凄い熱量で伝わってきた。

惨事から八年後の作品ということで当事者に慮っている部分と、当時の映像技術の問題もあるのか、惨状は不必要にリアルには描かれていないけれど、台詞の一つ一つ、仕草に想像を絶する惨状を思い知らされた。

各国の要人もこの作品を観ればいいのに。
そして、核兵器を行使するなんて曖昧模糊な言葉ではなく。善良でなんの罪もない市民を何十万人か、国益のために殺しますとボタンを押そうとしている者は明言すべきだと思った。

受けた悲しみは
決して返はしない

二階堂和美さんの歌う伝える花の歌詞は、戦争、殺し合いを根絶やしにするための唯一の解決方法なのかな。

これほどの悲しみは繰り返してほしくないし、どこかで止めないといけないのになんでなんだろう。。
てっきりエノラ・ゲイの操縦士や落ちてくる原爆のカットがあるもんだと思っていたからいきなりのピカドンにびっくり。
あくまでも被害者目線のみで描く演出に脱帽。


美術部の鬼のような執念がすごい。
8万人の広島市民のエキストラ出演は意味があるものなのだろうが、どうしても彼らの演技の稚拙さが気になってしまい、物語に入り込めなかった。
原爆投下後の広島が忠実に再現されているのに(実際はもっと悲惨なのだろうが)残念だ。

唯一の被爆国である日本は、原爆の悲惨さを世界に訴え続けていかなければならない。
犬

犬の感想・評価

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爆撃機(B)の飛行音を察知して「でも警報が出てない」と空を眺めてから閃光(ピカ)を浴びるまでの刹那、気付いたときには全てが薙ぎ倒され地獄絵図と化す。ラストの多重露光でオーバーラップする広島市民と被災地の憫然たる光景を目に焼き付ける。
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