うっすらネタバレありでお届けします。
「自称」の枠を出ない売れない「役者」桜井は、諸々に嫌気がさし自殺を試みる。
しかし本人の性質=計画性の乏しさ故に自殺すら失敗。
おもむろに財布に残っていた銭湯のチケットを見つけ、銭湯へと向かう。
プロの殺し屋コンドウは、「仕事」で汚れた体を洗うために銭湯へ向かう。
銭湯での偶然の出来事をきっかけに彼らは、それぞれの人生を入れ替えることになる。
役者、桜井は何かにつけ中途半端でだらしない。
彼の雑然とした部屋はそれを端的に表している。
また部屋に置いている演技に関する書籍は当然のように最初の数ページしか読まれていない。
一方コンドウは、当てもない状況に陥っても冷静にメモを取り状況を整理・把握することに努める。几帳面で地道な努力家である。
この事件によりコンドウはそれまでの人生では縁がなかったであろう「役者」として(ちょっとだけ)働くことになるのだが、持ち前の性質を生かし成果を出す。
(だらだらと芝居を何年も続けている桜井に演技指導できるほどに^^)
本作、桜井、コンドウ、それぞれのもともとの仕事に対する価値観も様々な形で出てくるが、中でもこの入れ替わった際「結局真摯な努力家コンドウが全くの異分野でも成果を出す」という描かれ方が、「職業観」視点で映画を見るにはキモだなと感じた。
コンドウみたいな人ならどんな仕事に就いてもうまくいくのではと思わせる説得力。
なんだかコンドウを見習いたいと思わされた。
物語の最後には桜井もコンドウも本来の自分の人生に戻っている。
この事件をきっかけに、それぞれのその後の人生が好転するだろうなと思えるラストを迎える、後味の良い作品。