九月

海辺のポーリーヌの九月のレビュー・感想・評価

海辺のポーリーヌ(1983年製作の映画)
3.8
先日観た同監督の『夏物語』ではどうでもいいことしか起こらないのに目が離せない、と思ったけれど、本作は各登場人物の恋愛観や価値観を目を離さず見聞きしたけど心底どうでもよかった。

夏のノルマンディでのほんのひととき。
少女の快活さと大人びた考えや言動をあわせ持つ主人公ポーリーヌが可愛い。彼女の視点から他の大人たちを眺めるような気持ちで観ていた。

ポーリーヌは従姉妹のマリオンに連れられて海に出かけ、そこで二人の男性に出会い、マリオンとピエール、アンリの奇妙な三角関係に巻き込まれることになるのだけれど…
自分がポーリーヌくらいの年齢の時、夏のほんの一瞬だけでも年上の人たちと過ごし、あんな風に男女の揉め事を目の当たりにしたら、きっと何とも言えない気分になるだろうし、その時の居心地の悪さは一生忘れられない気がする。
そんなことを考えてげんなりしてしまったけれど、当のポーリーヌは案外何とも思っていない様子で、むしろうまく渡っていて感心してしまった。

夏のノルマンディやフランス語の会話劇にはワクワクしたけれど、ポーリーヌ以外の登場人物に魅力をあまり感じられなかったので、入り乱れていく人間関係も投げやりな気持ちで見てしまった。
九月

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