ヨウ

夏至のヨウのレビュー・感想・評価

夏至(2000年製作の映画)
3.5
母の命日に集まった三姉妹は、思いもかけない母の昔の恋物語を聞く。貞節な理想の夫婦像を両親にみてた三姉妹はその事実に戸惑うが、それをきっかけに三者三様の愛情生活に隠された秘密が浮き彫りになる…

この監督作品、特有の柔らかい光と鮮やかな色彩が美しく、優美なベトナム(ハノイ)の生活感がみずみずしく感じられる映画だった。

亡き母が父以外の男性を愛していた過去を受け止めかねている三姉妹だったが、夫婦共にお互い別の相手と逢瀬を重ねている長女、妊娠直後に夫に浮気されてしまう次女、恋人と上手くいかず実の兄に微妙な気持ちを寄せている三女と、それぞれの複雑な背景がある故に、母親の過去にも段々と理解を示していく。

疑惑、失望、告白、秘密、誘惑、別離…それぞれに起こる出来事を通じて、女性として更に官能的な美しさが磨かれていく過程が、美しい風景と共に描かれる。

例えば物事が上手くいかなくても、柔らかい光やゆったりと流れる時間、そして姉妹の絆が優しく包んでくれる。
人生に暗雲が垂れ込み、心に闇が生じても一年で一番、日が長い夏至の光がきっと照らしてくれるのだろう。
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