ヨウ

パターソンのヨウのレビュー・感想・評価

パターソン(2016年製作の映画)
3.8
バス運転手の穏やかな一週間を描く。

自作の詩をノートに書き込み、夜には犬の散歩がてらバーでビールを飲む毎日。変化はないが、それなりに満足してる。

緩やかな時間の流れだか、どこか辛うじて保ってる均衡も感じる。何かの拍子に跡形もなく崩れさりそうな…

失恋した黒人男性エヴェレットの言葉が象徴的。

「日は昇り、そして沈む。毎日が新しい日だ。」

似た様に流れても、同じ日は実はありえない。その時々に感じた気持ちや感覚を残す様にノートに詩として刻む。同じインスピレーションは二度と捉えられないからだ。

同じパターソン出身の偉大なる詩人は死後でもその言葉が遺り、彼の言葉は容易く消えた。そこに幾ほどの差があるのか、同じ様に過ぎる日々の中で、いつまでも遺る言葉を自分は捉えられるのか。

新しいノートに言葉を書き始める時、彼の新しい一週間がまた始まる。でもおそらく以前の日々とは異なる、一日々々がしっかりとした輪郭を持ってるのだろう。その瞬間に産まれるインスピレーションを確実に捉える為に。
ヨウ

ヨウ