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容疑者Xの献身のnaomiのネタバレレビュー・内容・結末

容疑者Xの献身(2008年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

「容疑者Xの献身」…
献身とは何か、改めて考えてみた。

ざっくり意味を調べると、
--自己犠牲。
自分の利益をかえりみず他者に身も心も尽くすこと。--

用例を見れば、主に神に対してのこと。祈るとか、聖職者とか。
色々出てきた。


この映画のストーリーはすごく好き。
小説もいつか読んでみたいと思いながら、数年経ってしまったけど。



石神さんは、髪はいつ見てもボサボサだし、猫背だし、ボソボソと話すし、見た目の美しさはカケラもない。

でも見た目以外の、美しいと思うものへのこだわりが強い。
数学の答えに対しても、あの親子に対してもそう。
(結果、お母さんはスーパー美人だけど)

石神さんがあの親子に惹かれたのは、自分にはない太陽みたいな明るさで、
それで自分は生きる力をもらったと。

でも最終的に、石神さんのしたことは、全然正しくない。
大事な人たちを守ろうとした結果、犯罪を犯した。

そこに対する捉え方が、この映画の好き嫌いのポイントになるんだろうなと思う。

これは、神話のような完璧な愛になれなかった話。


石神さんっていう、
不器用のカタマリみたいな人間が、
おそらく恋愛経験も豊富にはないだろうし、
友達も少ないだろうし、
どこにいても社交的にはなれない人間が、(ボロカス)
大切な人たちを必死で守ろうとした。

でも…
そんなにまでして守られた人は、どう思うのかなと。
それが見えてないのが、石神さんっていう人だと思う。

献身という言葉の そのまんま、
身も心も尽くして…
がむしゃらに親子の幸せを祈って。

でも最後に言われてしまう。
「私たちだけ幸せになんてなれない」

うん。その通りだと思う!

だってそんなの、普通の人なら耐えられない。
ましてや、石神さんが惚れた心も美しい彼女が、罪悪感を感じずにすんなりと受け入れられる訳がないから。

石神さんはその彼女の言葉で、初めて感情をあらわにして号泣する。
立っていられないくらい。

石神さんの頭の中では、自己犠牲をもって完全に証明終了、答えは締め切られていたのに。

でも相手は数学じゃなくて…
人間だから。
それで終了には、できなかった。

もしかして石神さんが器用だったなら、その頭脳を持ってしたら、もっと上手くコトを運べたかもしれないけど。。

自己犠牲の皮を被った、自分よがり。

そんな石神さん、不器用だけど、全然愛せる。
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