15作目。
リリー再登場の超絶名作回。
恒例の、寅さんが一度とらやに帰ってきて、ひょんなことから喧嘩して出ていくといったくだりもなく、構成として珍しいパターン。
まず、前半のシークエンスである寅さんと兵藤、リリーの3人旅から発せられる多幸感の尋常じゃなさ。そして、幸せな空気に満ちているからこそ、その刹那的な雰囲気と相まって、確実に終わりを迎えるこの状況が切なすぎる。
そして後半、リリーがとらやにやって来てからも素晴らしい。
まずもって子犬のように寅さんにまとわりつくリリーの可愛らしさが爆発。
そしてシリーズ屈指の名シーン「メロンのくだり」。
ほんでもってリリーの愛の「吐露」(「告白」ではなく「吐露」なのよ)と、それを真っ向から受け止められない寅さんの哀しさ。まさに男はつらいよ。
溜息が出るレベル。
とにかく、稀代の名シーンが目白押しの本作。最高傑作に挙げられることが多いのも頷ける仕上がり。