カンパッチー

父親たちの星条旗のカンパッチーのレビュー・感想・評価

父親たちの星条旗(2006年製作の映画)
3.7
硫黄島からの手紙に比べると、どうしても硫黄島の戦争時と現在の戦債ツアー時の話が交互に写し出され、戦争運営の資金繰りのプロパガンダに利用されている部分がメインになるので、悲惨さよりアメリカへの皮肉さのが見えてくる映画ですね。

硫黄島当日、戦債販売ツアー中、現在と映し出されても分かりづらさは全くないのですが、登場人物が誰が誰だかを認識するのだけは難解です。国にいて実際の戦場の過酷さや国を盛り上げるためならでっちあげややらせなど軽いこととしか考えていない人達の意識の差が本当にこの映画ではキツい…しかし、語りの息子が語る「英雄とは人間が必要にかられて作るもの…ほとんどの人間は自分の父親のような普通の人間…彼らは国のためではなく仲間のために戦ったのだ」という言葉に胸を打たれます。

ただ硫黄島の手紙と同じく生き残ったとしても、英雄扱いされ用済みになればポイ捨てされる救いのないお話です。
というか実際史実にいる人間として嫌な奴として描かれているレイニー夫妻はどう思っているんだろう?とくに奥さんの方なんて完全に感じの良くない女として描かれてますよね、描いてもいいよといってくれる遺族の懐が広いというか…しかし、良い人間として描かれていた主人公のドクも近年では一回目のメンバーで2回目のこの写真のメンバーではなかったという事実も明かされ、本人はどういう気持ちで戦債ツアーを行っていたのだろう?戦時中で一回目と二回目を混乱していたのだろうか?とか色々考えてしまいました。ハーロンとハンクの話だけで胸が痛かったのに、ドクの話も嘘だったなんて悲しいなぁ…