J四郎

ミスティック・リバーのJ四郎のレビュー・感想・評価

ミスティック・リバー(2003年製作の映画)
4.0
クリント・イーストウッドのサスペンス映画。
ショーン・ペン、ティム・ロビンス、ケヴィン・ベーコンらが主役級で、彼らの演技が実に見応えがある。
脚本に魅せられ意欲的に出演を熱望した彼ら。それだけに熱のこもった演技の化学反応が巻き起こっておりますな。

監督が語っていた本作のテーマは”幼児虐待と復讐”。
幼児虐待なんぞするヤツは死刑に値する、と語っていた。その結果どうなってしまうかも描いているようだ。
主人公たちは少年時代、仲の良い幼馴染でその中の一人デイヴがオッサンに誘拐され性的虐待を受けてしまう。
3人がある事件をきっかけに久々に顔を合わせる。それは更なる悲劇の幕開けにすぎなかった・・ってところかな。

このデイヴを演じているのがティム・ロビンス。
最初観た時、直ぐには彼と気づかない程の変貌っぷりだった。
それは特殊メイクをしているとかじゃなく、この男に成り切った演技のためで、複雑な人間性やその後送って来た人生も醸し出しているかのよう。

彼だけでなく、ショーン・ペンもケヴィン・ベーコンも良いし
周りも演技派で固められており、実に重厚な人間ドラマが展開される。
さすが俳優出身のイーストウッド、この映画に関しては奇をてらったサスペンスより役者の演技力を引き出したらしい。
もちろんミステリー要素もあるけど、見どころはやはりドラマだろうね~。
それだけ脚本も良く出来ているんだと思う。

ここんところイーストウッド作品をまとめて再鑑賞している。すると、この映画にも彼のテーマ性がちゃんとある事に気付いた。
殺人の非人道性、暴力や復讐がもたらす結果など。
味わい深く質の高い映画なので、これから訪れる秋の夜長に観るに丁度良いかもしれませぬ。
J四郎

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