このレビューはネタバレを含みます
ある夫婦の喜怒哀楽
2009年11月23日 17時06分
ゴールデングローブ女優賞受賞。ドリームワークス提供、サムメンデス監督。
とても気になっていた作品。サムメンデス、好きな監督さんです。(追記アクション映画やりはじめてからは、正直微妙。)
「アメリカンビューティ-」の怒涛の妄想力をケビンスペイシィーの名演とともに表現。アカデミー賞も獲得。少し気持ちが悪くなるんです。
サムメンデス作品って、だから好きなんです。
「ジャーヘッド」の兵士達の「待ち」の焦燥と無為な「兵士」の存在。そして本作。予告で見た限りですが、なんか「いい感じの風」な印象だったので劇場は行かなかったんです、自宅鑑賞でいいかな?みたいな。
ディカプリオさんも何気に「見ない嫌い」という勝手なレッテル貼ってるしまつでありました。
素晴らしい俳優の映画であり、素晴らしい喜怒哀楽の映画でありました。
レビュー拝読して、確かに予告に大河めいた大恋愛、プラス的ラブラブ映画を想定しますとまったく居心地悪くなる作品。(苦笑)
「タイタニック」(未見)を想定したら気持沈没しそうです。
1950年代。アメリカのある男女が出会い、家を手に入れる。演劇を志していた精神的に何かわだかまりを抱えていそうなケイトウィンスレット。
優良企業に勤めるレオナルドディカプリオ。
二人は、お互いを思いながらも、どこかあさってをむいた「ラブ」を重ねあいます。
二人の愛は時に激しく、やっぱり激しく、思いはそれていきます。
他人からすれば
「馬鹿なんじゃないの?」という「ラブ」
を二人は、共有し、道を歩んでいきます。
二人のロードはいかなる事に?
ドリームワークスの意味も、すんごくよくわかりました。
すんごいディティールなんですよね、衣装、雰囲気、小物、大量の帽子をかぶるサラリーマンのある種の気色悪さ。
音楽トーマスニューマンの懐かしいオールディーズの調べ、
ドゥーアップサウンドのハーモニー。
ダンスシーン、酒場のネオン、バンドマン。
素晴らしく抑えた豪華な装置、それわあくまでも舞台の一部分。
表現されている感情は、「現代」の我々に響きます。
新鮮な喜怒哀楽がこのレボリュ-ショナルロードの二人にあるのです。
喜怒哀楽というより
喜怒愛憎なのかな?
のどかなアメリカに飲み込まれているディカプリオ。
彼の「怒」のシーンは、こちらも煮えくりかえりそうな感情の波にぶつかります。
やり場の無い「不毛な言い合い」の後の「怒」の表情、声。
わなわなふるえ、いきりたち、怒りが収まらないような素晴らしい演技。
大必見だと思います。
こういう「怒」あるある。
そして迎えるケイトウィンスレットの受けの演技。彼女が明らかに「男」のような表情に
みえるシーンがあるんです。耐えて、思いっきり「傷」ついて、隠して、耐えて、叫んで、、、。
さすが
ピータージャクソン「乙女の祈り」出身でございます。
こちらも是非!
陽気なおば様キャシーベイツ。
本作の鍵の人物マイケルシャノン。彼のむき出した心は、ある意味ホラーな存在感です。
二人を揺さぶるキーマンなんです。いい悪いは別としてですが。
会社の同僚の可愛い娘さん、ゾーイカザン助演。
サムメンデス監督イギリス出身なんですね。
ケイトもそうなんですね。納得納得、アメリカンな印象じゃないよなーと思っていたんです。夫婦協作の素晴らしさ。決して簡単じゃない題材だけに素晴らしい信頼関係なんだなー。
ディカプリオに出てもらうため二年も待ったかいあった共演関係ですね、ジェームスキャメロンの功績デカし。
「タイタニック」のアンチ-ゼのような二人です。
乗り越える荒波が、違うこと違うこと。(笑、タイタニック見てないくせに、、。)
なんでも言い合えるって何でしょう?
本当に言いたいことを言ったら良いのでしょうか?
「アイ」って何?
レボリューショナルロードな
「アイ」は、自分にとって、とてもうらやましくもあり、
とても身に覚えのある感情が湧き立ちは消え、
共に言い合える仲がうれしくもあり、
すぐに奈落の底に落ちるような「憎」な心もち、人間同士の言い「愛」な感情が沸き起こりました。
少し気持が悪くなるけどなかなか「リアル」で素敵な激しい「ラブ」ストーリーでした。
ある意味珍しく人間くさいアメリカ映画です。
明るい気持にはなれませんが、感情のうねりに巻き込まれ疲労し、静かなリアルをあじわえました。
二人の素晴らしいぶつかり
「アイ」な「ラブ」を是非堪能
またわ疲労してみてわいかがでしょうか?
(独り言)
これ劇場でみたらもっとこたえただろうなぁーー。
ディカプリオの怒りジワと
ケイトの能面のような表情と艶めき
サムメンデスのひりひりしたドラマ
ドリームワークスのあくまで添え物なんだけどしっかり作りこみすぎた
「1950年舞台装置」のプロダクションデザイナーに
リスペクト
追伸
ラストシーンは、ある意味の男女間の真理なのかもしれません。