カトキチ

吼えろ!ドラゴン 起て!ジャガーのカトキチのレビュー・感想・評価

5.0
『吼えろ!ドラゴン 起て!ジャガー』は香港映画のターニングポイントになった作品である。これ以前の香港映画は邦画の殺陣に影響を受けた武侠映画が基本で、さらに『座頭市』のヒットにより、ハンディキャップがある主人公という設定から片腕がない主人公が大暴れする『片腕必殺剣』が公開。そしてそれを演じたジミー・ウォングは片腕スターとして有名になるわけだが、以前から彼はショウブラザースの扱いに不満だった。なによりも月給制で作品のヒットとは関係なく、給料は変わらなかった。彼はその不満を爆発させ、ショウ・ブラザースに「監督をやらせろ!」と要求する。

武侠映画に飽き飽きしていたジミー・ウォングは『姿三四郎』を観て感銘を受け、素手による戦いを描きたいと前々から思っていた。そうして作られたのが『吼えろ!ドラゴン起て!ジャガー』である。この作品は香港映画初の200万ドルを越す大ヒットを記録。ここから香港映画=カンフー映画という歴史が始まっていく。そう、今日の香港映画のカンフーアクションはジミー・ウォングが作ったといっても過言ではないのだ。

さて、歴史的に重要な作品であることを説明したが、まぁ、この映画、本当にむちゃくちゃおもしろい。

タランティーノが複数人上から覗きこむショットを下から煽って撮るが、あれはこの作品が元ネタだし、100人相手に大立ち回りするアクションはすさまじいし、最後は西部劇の決闘のような迫力があり、熱々の小石に手を突っ込んだり、その場でジャンプし続ける修行など、香港映画特有のわけわからなさも含め、見せ場だらけの大傑作だ。
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