改名した三島こねこ

メランコリアの改名した三島こねこのレビュー・感想・評価

メランコリア(2011年製作の映画)
3.6
芸術的な映画としての完成度が非常に高い。ハンディカメラで撮影しているのだろうか、狭窄な視界の焦点となる人物に隠れるようにして静謐な背景が淡い輝きを放つ。

色彩は自己主張の激しくならないものに調整されているのが、かえって背景美術に私達を惹きつけてやまない。開幕の幸福な式風景が鮮烈に印象付けられるだろう。
しかしそういった鮮やかな美が、些細なズレを不穏な空気にまで昇華する。スプーンの金属的な落下音や、新郎の吃音が幸福に罅がはいるのを如実に表している。

作風は全体を通して淡々としているが、それを退屈に感じさせないのは監督の実力か。

オフィーリアの絵画をイメージさせる広告画像が作品のすべてを凝縮しているかのよう。