彦次郎

独立愚連隊の彦次郎のレビュー・感想・評価

独立愚連隊(1959年製作の映画)
4.2
第二次世界大戦末期の中国を舞台に見習士官の心中事件を調べにやってきた従軍記者と見習士官の属したハミ出し部隊を描いた娯楽戦争映画の傑作。
主演は佐藤允。従軍記者なのに拳銃の腕前が只者ではないところがカッコイイです。彼に惹かれた女性が従軍慰安婦になってまで追ってくる辺りからも別方面で只者ではありません。ニヒルな笑みと軽口でドライに見えますが心底は実に熱い魂を宿しているところが主役として実に良いです。
タイトルにもある独立愚連隊は博打と酒に興じるふざけた連中ですが実は全員が死を覚悟して諦観の中に生き様を示しています。掴み所のない隊長(演じてるのが水戸黄門の初代風車弥七)が終盤一矢報いる精神がこれまた熱いです。
グラサンで胡散臭いけど実は義理堅い馬賊を演じた鶴田浩二や美人な妹(隠し砦の三悪人の姫様)も印象的です。頭のおかしくなった大尉が喚き散らして住民女性から冷笑される場面がかなりキテましたが演じたのが三船敏郎という謎の豪華さに驚きです。
心中事件の真犯人をやっつけて終わりではなくその後からの大地獄絵図は娯楽映画として模範にすべき構成です。
恐らくは制作者が戦争体験者なのでしょうか。命の軽さやドライさの中にある前向きさは一筋の爽やかささえありました。
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