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ほら男爵の冒険のryosukeのレビュー・感想・評価

ほら男爵の冒険(1961年製作の映画)
4.2
繊細で雰囲気のあるアニメーションと実写の合成が独特の空気感を放つ作品。
気の抜けたどこか間抜けなユーモアセンスが素敵。自信たっぷりの男爵のナレーションも間抜けな状況との対比で笑わせる。
音楽と画面の対応もよく考えられていた。
トルコ兵と戦うシーンのモンタージュはかなりインパクトが強い。フィルム自体も赤く彩色され緊迫感が示される。
立ち上る赤い煙はかなり毒々しい。
ワインの色塗りが妙に雑なのも面白い。
ジャンプカットがコミカルな効果を出している場面もあった。
魚の中に飲み込まれている場面で、画面の色によって現在地を紅海、黄河、黒海などと言い当てるというアイデアは面白い。
魔法の動物たちのデザインも気持ち悪い中に可愛らしさがあってよい。
動きのあるアニメーションの部分はそんなに滑らかではなく、実写部分とのちぐはぐな感じも良い味を出している。
気の抜けた空気感が心地よい個性的な良作であった。
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