こなつ

しあわせの隠れ場所のこなつのレビュー・感想・評価

しあわせの隠れ場所(2009年製作の映画)
4.0
全米スポーツで1番人気を誇るアメリカンフットボールリーグNFLのマイケル・オアー選手、彼の激動の半生を描いた実話。

以前からクリップをしていたが、今回やっと観る機会があった。重く暗い映画を観た後は、ハッピーな映画が無性に観たくなる。

貧しいスラム街に生まれ、里親の家を転々としながらホームレスのような生活を送っていた黒人の少年マイケル(クィントン・アーロン)が、裕福な白人女性リー・アン(サンドラ・ブロック)一家に家族として迎え入れられ、アメフト選手としての才能を開花させていく物語。

リー・アンの視点で描かれているので、スポーツ映画というより、心温まるヒューマンドラマに仕上がっている。私のようにアメフトのこと全然知らなくても大丈夫。

「ビッグ マック」と呼ばれるほど、熊のように大きい黒人のマイケル。たとえ雨の中一人孤独に歩く彼を見付けても声など掛けられないのが普通なのに、白人女性リー・アンは彼を放っておけなかった。自宅に連れて帰り一晩泊めようとする。その出会いが、マイケルにとってどれ程幸運なことだったか。

リー・アンの家族、テューイ一家の二人の子供、コリンズ(リリー・コリンズ)とショーン(ティム・マッグロウ)もマイケルを差別することなく温かく接する姿が素晴らしい。しっかり躾られていて好感が持てた。そんな恵まれた環境に迎え入れられたマイケルが、悩みながらも一流のフットボール選手として進化していく姿が丁寧に描かれている。

マイケルは、決して勉強が出来るわけではない。スポーツ推薦でも一定の学力が必要な大学入試にも苦労する。それでも優れた身体能力と1つだけずば抜けていた適性「保護能力」が武器となり、「フットボールチームを家族だと思って守りなさい」というリー・アンのアドバイスの言葉に、オフェンスのポジションで飛躍的に伸びていく。

マイケルの能力を信じ、深い愛情で包み込み、時には勇ましく守るリー・アンをサンドラ・ブロックが熱演。マイケルのために怖い地域に勇敢に足を踏み入れ、「私はライフル協会の会員だから、マイケルに何かあったら許さない」とチンピラ相手に脅し文句まで飛び出す。思わず拍手を送ってしまうくらい、かっこいい。

最後には、マイケルがNFLの1巡目で指名され、テューイ家の人々に囲まれて喜び合う実際の映像が流れた。とても感動的だった。
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