J四郎

しあわせの隠れ場所のJ四郎のレビュー・感想・評価

しあわせの隠れ場所(2009年製作の映画)
3.8
NFL選手のマイケル・オアーの実話に基づいたジョン・リー・ハンコック作品。主演はサンドラ・ブロックで彼を引き取る家族のおっかさん役です。

スラム育ちの黒人で巨漢の少年マイケルを裕福な家族たちが目を止め、家庭に招き入れます。周りは白人ばかりの名門校で勉強は苦手な彼はやや浮いた存在。だがやがてアメフトの才能を開花していくお話。
肉体がぶつかり合う試合のシーンも中々の迫力もんです。

マイケルは勉強は苦手だが頭は悪くない。むしろ絶えず周囲に気を使っているので賢いことが解ります。彼の家庭教師にミザリーなオバちゃんが担当してくれる。ちょい怖い話をしたりと出番は少ないがやはりこの人はインパクトありますな。

この映画で一番魅力的なのは一家の母親役サンドラ・ブロックでしょう。基本的に優しい人なんですが、こうと決めたらアメフト野郎だろうがスラムの不良相手でも一歩も引かない。なかなか男前で痛快なお人です。

映画の表面を見ていると不幸な少年を成功に導いた美談。でも終盤では子供は例え才能を持っていても生まれた環境次第で幸にも不幸にもなるって現実が語られている。特典映像でマイケル本人が自分より才能があっても過酷な生活で埋もれてしまった人もいるだろうって言ってたしね。

気になったところでは家族の人間が皆さんメッチャ良い人ばかりです。何の軋轢も葛藤も無くマイケルを受け入れる高潔さは立派なのですが、ここが人によっては引っかかるかも知れない。その分、作中に嫌な奴があんまし出てこないので疲れた時に観るには最適です。

現実世界がとんでもない事になっている今、あくまで一部ですが弱さから攻撃的な人間が出ている。こういう作品を鑑賞して精神を浄化するのも良いもんです。
J四郎

J四郎