TAK44マグナム

クルーレスのTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

クルーレス(1995年製作の映画)
3.8
バットガールvsアントマン!


「初体験リッジモントハイ」の監督であるエイミー・ヘッカーリングが再び手がけた青春コメディ。
主演はアリシア・シルバーストーン。共演にポール・ラッドやブリタニー・マーフィなど。

90年代を席巻した青春映画ということで以前から観たかった作品をようやく重い腰をあげて鑑賞しました。
重い腰をあげたら、想像よりずっと軽い調子の楽しいコメディでしたよ。
たぶん、小さくなったアントマンより軽いです。


主人公はビバリーヒルズに住むセレブであり、美少女JKのシェール。
学校の人気者ではあるけれど、特別お高くとまっている風でもなく、いつも親友のディオンヌとつるんではデパートで買い物をしたりして人生をエンジョイしています。
彼女はセレブこそ人の為になるべきという思いも持っていて、それはちょっと外れた方向を向いてはいるんですが、イケてない転校生のタイ(残念ながら若くして亡くなった、故・ブリタニー・マーフィがチャーミングに好演)を「変身」させ、イケてる男子とくっつけようと腐心したり、(動機が不純ながら)成績アップのために先生同士をカップリングしたりと、結果的にそれらが身を結ぶ展開からして基本明るいお話。
では、どういうドラマが生まれるのかというと、登場するのが義兄のジョシュ(ポール・ラッド)。
義兄とはいえ親たちは離婚しているし、連れ子同士だったので当然血の繋がりもない相手。
最初はお互い反目するところもあったりなのですが、ジョシュがシェールの美しさに気をとられている様子も描かれます。
今やアントマンとして有名なポール・ラッドですが、自然で繊細な表情を含む演技が達者。
性的にいやらしい感じがないし、何となく良い人オーラが出ています。

紆余曲折あって、シェールは「人生最悪の日」に、最も大切にすべき事を悟ります。
身勝手な「人助け」ではなく、望まれる「人助け」に邁進するようになり、人にはそれぞれ良い面があり、それを認め合うことが重要なのだと知るのです。
と、同時に本当に恋する相手が誰なのかにも気づきます。


非常にありきたりで、どこにでも転がっていそうなストーリー。
特に奇をてらった演出もなく、必要以上に笑いをとりにいくギャグもありません。
ただただ、各キャラクターが活き活きとしていて、観ていて気分が良くなるんですね。
主要キャラに嫌なのがいないのも大きい。シェールのパパは厳しいですけれど、ちゃんと娘と打ち解けていますし、先生たちも常識人ばかりです。
普通なら誰かしら敵対するキャラクターが話をかき乱す筈なのが、タイがライバルになるのかな?と思ってもそこまで深掘りはしてきません。
一応、喧嘩して「人生最悪の日」の火種にはなりますけれど、シェールが立ち直るのが早いので暗い方向には進まないんですね。
もう、ずっと明るい。
運転免許試験に落ちてもすぐに立ち直りますし、今は亡きママの死因を教えてくれる声もきわめて明朗なのです。

そんなシェールを演じるアリシア・シルバーストーンがとにかく文句なく美少女。
現在は40代かと存じますが、若い頃の面影を残したまま、美熟女となっておられますね。
表情がくるくる変わり、笑顔は可愛く、憂い顔は綺麗。
ちゃんとパパを助けるし、自分の間違いにも気づけるシェールは人物設定からして完璧超人に近い。
車の運転だけはセンスが無さすぎですが、そりゃあ人気者にもなるでしょうねぇ。
いかにもなJKらしく小狡くもあったりしますが、まったく鼻につかない得なキャラクターで、彼女を見ているだけでハッピーな、そんな映画でした。
内容は薄くて浅いけれど、何も考えずに観られますよ。

それにしても、どこか連続ドラマっぽい雰囲気だなと思ったら、実際に人気を受けてドラマ化もしているんですね。
そちらも観てみたい。


NETFLIXにて