KnightsofOdessa

東への道のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

東への道(1920年製作の映画)
3.5
No.9[グリフィス、ギッシュ虐め過ぎじゃね、グリフィスと黎明期のハリウッド④] 70点

ギッシュを中心に据えた有名な作品群でも、社会規範(今回はキリスト教的な"一夫一妻制")に殺されかける薄幸少女、ラスト・ミニッツ・レスキューとその成功(「散り行く花」で成功しなかったから安心)などを取り込んだグリフィスっぽい作品。

ニューイングランドに暮らすアンナ・ムーアはボストンに住む裕福な親戚に無心に行くが、女たらしのレノックスに嵌められて内縁関係を結婚と偽られる。やがて身籠ったアンナはレノックスに棄てられ、母親も死亡し、産まれた赤ちゃんも洗礼前に亡くなる。父無し子を産んだアンナは家から追い出され、バートレット村にやってくる。そこの富農バートレット家の住み込み女中として働き始めるが、近くにはレノックスの屋敷があり、紆余曲折を経て出自がバレてしまう。厳格な清教徒である家長に真冬の夜に追い出されるも、予てより想いを寄せられていたバートレット家長男のデヴィドが流氷によって流されるアンナを救出し、晴れて二人は結ばれる。

前作「散り行く花」でギッシュをサクッと殺したことを悔いたのか、本作品では徹底的に虐めまくる。特に洗礼前に亡くなると神に会えなくなるため、自分で死に行く我が子を洗礼する姿は涙なしに語れない。ただ、いくら未婚出産が教義に反するからって真冬の吹雪いてる夜に寡婦を追い出すのはやり過ぎ。グリフィスがギッシュ大好きなのは理解したけど明らかに虐め過ぎで、見てて辛くなる。

バートレット家界隈の面々が変人すぎて面白い。噂好きなマーサ、それを20年もストーカーしまくるセス、蝶を追い回す"教授"、デヴィッドの許嫁ケイト。そして、女たらしのレノックス・サンダーソンは映画史に残るクズなので必見。あいつは滝壺に落ちてもいいよ。
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