びーる

アメリカン・ヒストリーXのびーるのレビュー・感想・評価

アメリカン・ヒストリーX(1998年製作の映画)
4.5
憎しみや暴力を色濃く描いた作品
「アメリカン・ヒストリーX」
ネオナチ、人種差別、家族など大きな問題をこれでもかと言うほど痛烈に描いており、鑑賞後の虚無感は計り知れませんでした。

ナチスを崇拝している兄のデレク。白人至上主義の考えのもと、黒人や移民に対し暴力を振るいます。分かり合えることはないという絶望感を見ているこちらに感じさせます。

登場人物の感情をダイレクトに表現したような演出もあり、心を揺さぶられます。モノクロームで過去の回想を蘇らせたり、スローモーションで表情を鮮明写出したりとこちらの想像力を掻き立てる演出でした。

ラストシーンの一節は本当に感銘を受けましたね…弟や兄が背中で負う大きな責任や問題が一気に頭の中を交錯し、いたたまれない気持ちにもなります。

歴史が語る身分の差や価値観など、やはり保守や右派を重んじる人にはねじ曲げ難い事実があります。それでも人種を超えて分かり合えるには、相手を知らなければいけないし、自分の考えにも柔軟性が必要です。人とともに生きる上で大切なものを教えてくれた作品でした。
びーる

びーる