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月の砂漠のryoのレビュー・感想・評価

月の砂漠(2001年製作の映画)
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家族の崩壊、家族への執着。

形としての家、囚われる概念としての家族。崩壊していくしかないその概念としての家族。

もう崩壊するしかないのにも関わらず、
その事を分かっているにも関わらず、
逆に分かっているからこそ、
失われた家族というものの妄想に囚われる。

失われた家族に囚われた皆が、都会を離れ、家という箱に集まる。
この後、家という箱の中で、どのように生活がなされて、家が、家族が作られていくのか。恐らくまた崩壊せざるを得ないけど、それでも家族に拘る執念。

全編を覆う緊張感。
その緊張感は決して劇的でなく、瞬間的で感覚的な何か分からないモノで構成されている。その曖昧さ、分からなさを伴う不安、どうしようもなさが、とても切実なものとして心に刺さる。
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